2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760041
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
居波 渉 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (30542815)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超過像顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子線透過防止膜について検討した。電子励起アシスト顕微鏡は、収束電子線を蛍光薄膜に照射して、ナノ光スポットを生成する。高いエネルギーを持った電子は、透過能が高く、蛍光薄膜を透過する。透過した電子は、蛍光薄膜上に置かれた試料に衝突する。試料が細胞などの場合には、試料が損傷してしまう。そのため、蛍光体薄膜上に電子線透過防止膜をコーティングした。電子線防止薄膜には、金を用いた。これは、電子線の透過率が低く、成膜が容易なためである。Y2O3 : Eu3+蛍光体薄膜に金を塗布した場合について解析を行った。始めに、金の膜厚と生成されるナノ光スポットのサイズの関係を求めた。金薄膜があっても、光スポットサイズは、光の回折限界以下であった。また、金の膜厚が厚くなるとともに、スポットサイズが大きくなることが分かった。金を塗布した蛍光薄膜を用いた場合、光スポットサイズは、金薄膜無しの場合と比較して、最大で1.5倍程度大きくなった。次に、金の膜厚と光強度の関係を求めた。膜厚が0nmから増えるに従って光強度も高くなる。膜厚約6nmで光スポットの強度は最も高くなった。その後、金膜厚の増加とともに、光スポットの強度は減少した。 実際に電子線透過防止膜を成膜し、生きた細胞を観察した。金薄膜の厚みは15nm、電子線の加速電圧を3kVとした。金薄膜の厚みが15nmのとき、加速電圧が3kVの電子線をほとんど止めることができる。電子線透過防止膜を付加した蛍光薄膜を用いて細胞を観察した結果、細胞の動きや細胞内の顆粒を観察することができた。観察できた顆粒の大きさは、光の回折限界以下であった。また、長時間観察しても、細胞が変形したり、死ぬことは無かった。電子線透過防止膜を付加することで、光の回折限界以下の空間分解能を有したまま、電子線照射による試料ダメージを減らすことができた。
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