2012 Fiscal Year Research-status Report
再生光整流による究極的高効率テラヘルツ波発生の開発
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24760044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 正也 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30343239)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 波長変換 / THz波発生 |
Research Abstract |
本研究課題では1.04μm 帯のサブピコ秒光パルスレーザーを用いて、外部共振器を用いた励起光の再生利用を用いることで、高繰り返しレーザーであっても0.1%に迫る高い変換効率でのTHz パルス発生を実現することを目標とする。当該事業年度では外部共振器の構築を行い、群速度分散や多光子吸収の小さなGaP結晶を共振器に入れてTHz パルス発生を目指す。 この実現のために、まずは外部共振器を構築しその電場増強が可能であることの実証を行った。励起レーザーには0.8μm の波長の20fs のパルス幅の高繰り返しチタンサファイヤレーザーを用い、電場増強の目安として第2高調波発生の高効率化を図った。結果としてわずかな第2高調波発生の増強が見られた。また低繰り返しサブピコ秒Yb: ファイバーレーザーを用いて1.04μm 帯のパルス整形技術の確立およびGaP結晶を用いた広帯域THz パルスの発生および検出の動作確認を行い、比較的パルス幅の長い励起レーザーであっても広帯域の光サンプリング測定が可能であることを実証した。また高繰り返しHigh-Qレーザー社のYb: YAGレーザー(高繰り返し光源)および再生増幅器が当該年度の2月に稼働した。これを受けて、アイセーフのための措置を実験用光学定搬に施し、1.04μm 帯レーザーでの外部共振器での電場増強と第2高調波発生の高強度化における実証実験を再開した。本実証実験は3月末以降も継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では別の研究課題を実施するために当該年度の前年度に納入予定であったHigh-Qレーザー社のYb: YAG レーザーのオシュレータを用いる予定であったのだが、稼働が当該年度2月と大幅に遅れてしまったため、当初の研究計画からは大幅に遅れてしまった。ただし、別の研究課題で納入したYb: ファイバーレーザーを用いて1μm帯のレーザーを代用して用い、THzパルス発生検出技術や発生したTHzパルスの波形整形技術に関するいくつかの実証実験を行った。結果として次年度において当初の計画の遅延は解消できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では1.04μm 帯の高繰り返しサブピコ秒光パルスレーザー光のパルス幅や構築した共振器内の分散補正を調整し、最終的には100mWの励起光に対して100μW(変換効率 10^-3)での高効率THz パルス発生を目指す。この値は一般的なテラヘルツ時間領域分光で用いられる光伝導アンテナからのTHzパルスの10^3倍の強度である。そして実際にTHz帯に大きな吸収を持つ有極性分子の透過スペクトル測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本提案では研究グループに既設のYbレーザー装置、レーザー同期用の機器を最大限に活用した上で、外部共振器を構築するための必要最低限の光学部品(高出力ミラー、共振器用のホルダー、保持具など)、高周波回路部品、およびピエゾ素子を研究経費としている。また、非線形結晶については抵抗率が指定されたGaP 結晶が必要であり、整形やARコートにおける経費を計上している。このような光源からのTHzパルスの評価は全て水蒸気が除去された環境で行う必要がある。データを測定するためのAD変換器を計上している。
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