2012 Fiscal Year Research-status Report
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24760048
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 将之 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60622371)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超短パルスレーザー / 広帯域光源 / 波長変換 / 高性能レーザー / レーザープラズマ |
Research Abstract |
平成24年度は、レーザー励起プラズマ非線形媒質発生装置の開発と紫外および可視域におけるフェムト秒レーザーの特性評価システムの構築を行った。はじめに真空容器の準備を行い、真空チェンバー内に設置した金属ターゲットにピコ秒レーザーパルスを集光するビームラインおよび波長変換用フェムト秒レーザーの集光光学系を作成した。また本方式ではレーザープラズマ非線形媒質生成のためのピコ秒レーザーとフェムト秒レーザーの時間差を20-100nsまで可変して最適値を探索する必要があるため、これを実現できるデレイラインの作成も行った。つぎに、この実験装置を用いて基本波に800nmに対する第三高調波生成を行い、波長270nmにおいてスペクトル幅8nmのフェムト秒パルスを得ることに成功した。同時に非線形光学結晶のBBOによる第三高調波を用いて計測器の校正を行った。その結果、プラズマを用いた第三高調波の出力は5マイクロジュールであることを確認した。そして次年度に実施予定の光パラメトリック増幅試験に用いるための広帯域増幅光の生成を行った。その結果、フォトニック結晶ファイバー(PCF)を用いて波長420nmから1750nmまでの広帯域光源生成に成功した。従来、PCFを用いて広帯域光源生成を行う場合、ゼロ分散波長と励起レーザーの波長差を一致させて使用する。しかしそれらの波長差が200nm程度離れているときの方がスペクトルの広帯域化を起こることが新しい知見として得られた。非線形シュレディンガー方程式を用いて、この現象を確認すると高強度レーザーがPCF中で自己位相変調により短波長化され、その短波長化したレーザー波長とPCFのゼロ分散波長が一致したとき高次の非線形効果でスペクトルが広がることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、レーザー励起プラズマ非線形媒質発生装置の開発と紫外および可視域におけるフェムト秒レーザーの特性評価システムの構築を行った。予定よりも早く作業が終了したため、次年度に予定していたレーザープラズマ非線形媒質を用いた第三高調波生成を前倒しで実行した。その結果、波長270nm、スペクトル幅8nm、出力5マイクロジュールの第三高調波生成に成功した。また100fsのフェムト秒レーザーによる結晶を用いた場合のスペクトル幅は、2.7nmであった。これより従来法と比較して約3倍程度のスペクトル広帯域化に成功した。このスペクトル幅はω1とω2の時間差を変化させると大幅に変化することが新しい知見として得られた。つぎに光パラメトリック増幅に用いるシード光の生成も行った。その結果、PCFを用いて波長域420nm-1750nmまでの広帯域光源生成に成功した。これによりPCF中で生じる自己位相変調を積極的に利用することで、従来法よりも広帯域スペクトルを得られることが明確となった。なお、この成果は査読付学術論文に掲載された。AOチューナブルフィルターを用いた波長掃引試験は装置自身の納品が大幅に遅れたため現在進行中であるが、次年度に進める第三高調波生成試験がすでに終了しており、この作業と入れ替えることで計画通りに研究を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に開発した装置を用いて、波長800nmと400nmのフェムト秒レーザーパルスをレーザー励起プラズマ非線形媒質に集光し、光パラメトリック過程による可視域の波長可変フェムト秒レーザー生成を行う。第三高調波生成は平成24年度に前倒しで進めたため、今年度は光パラメトリック増幅試験に注力する。現在、フェムト秒レーザー計測システムは第三高調波計測用となっている。そのため紫外域用の光学素子から可視域用に変更する作業を進めたのちに光パラメトリック増幅試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は四波混合または光パラメトリック過程による可視域のフェムト秒レーザーパルス生成を行う。当研究室で所有している分光器の分解能は0.7nmであるが本研究では分解能0.1nm程度のものが必要である。そのため新規で、この分解能を有する分光器を導入する。実験は計画通り進んでいるため、導入時期は8月を予定している。現在、すでに機種選定は終了しており、購入準備は整っている。消耗品としては波長域の異なる光源開発を行うため、その波長に適応した高品質なミラーやレンズを購入する。またレーザープラズマ非線形媒質生成用のターゲット材料は適宜に購入を進める。
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