2012 Fiscal Year Research-status Report
多層型マンガンバスによる中性子源放出率の絶対測定法の開発
Project/Area Number |
24760057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 哲郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70415793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中性子放出率 / マンガン / NaI(Tl)検出器 / ガンマ線 / 線源 |
Research Abstract |
工業用のさまざまな場面で利用されているる252Cf等の中性子線源について、放射線源の管理が厳密化され、人や環境に対する放射線影響が問題になる中、線源強度のもとになる物理量である中性子放出率(/s)の絶対値がたびたび必要になる。しかしながら、中性子線源からの中性子放出率測定は、一般的に大きな装置を必要とし、容易ではない。そこで、本研究では多層型マンガンバス検出器という新しい発想に基づいた中性子放出率測定器を提案している。本年度は、本研究課題の初年度であり、提案した多層型マンガンバス検出器の設計及び作製を行った。検出器は、水素を含有するポリエチレン板材とマンガンを約70%含有するスターサイレント鋼材(大同特殊鋼製)を多層に配置した構造となっている。当初高純度マンガン粉末の利用が考慮されたが、粉末内への水の吸収が測定に与える影響が大きいことから鋼材を用いる構造にした。検出器中心に線源を挿入する。線源から放出される中性子は、水素との弾性散乱によって減速し、スターサイレント鋼材内のマンガンによって捕獲される。Mn-55(n,g)によって生成されるMn-56は半減期2.6時間で847keVガンマ線を放出する。中性子線源と入れ替えに検出器中心に2インチ×2インチNaI(Tl)検出器を挿入し、Mn-56から放出されるガンマ線が測定される。また、同時に高純度Ge検出器を用いた測定も行うことにより、最終的にMn-55の放射化量を求め、中性子放出率が導出される。全体の大きさは30cm×30cm×30cmである。当初は、球形の検出器を想定していたが、加工の難易度を考慮し立方体とした。検出器の検出効率は、MCNP4Cコードを利用して評価された。ポリエチレン厚さや鋼材の厚さを変動させることにより、検出効率が良くなるような体系を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画初年度に多層型マンガンバス検出器の設計の際の計算による評価及び作製が予定通り終わった。また、放射化後のガンマ線測定の体系についても構築され、測定の流れについて検討された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、実際に中性子線源を用いた測定を行う。マンガンの放射化量の測定や検出器からの中性子の漏えいフラックスなどの補正項について、モンテカルロシミュレーションと測定とを比較する。多層型マンガンバスは初めての試みであるので、上記の測定の中で見つかった問題点を解決していく。Cf-252線源とAm-Be線源という異なる線源を用いることにより、どのような特性があるかについてもまとめる。更に、産総研の単色中性子場を用いて検出器の特性評価することを試みる。 また、産総研ではユーザーが簡単に中性子線源の放出率を知るための装置としてポリエチレン減速材とHe-3比例計数管によって構成されている簡易型中性子放出率キャリブレータの開発を行っている。すなわち基準を簡単にトランスファすることが可能である。この簡易型中性子放出率キャリブレータに値付けを行う。その結果が、従来の方法と比較してどの程度のメリットがあるか、また有用性、汎用性など実用化に向けた考察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費としては、検出器周辺の固定冶具、検出器を扱う際の消耗品費を使用予定である。役務費として、検出器を構成する各材料を組み合わせた際にできるわずかな隙間を最小限にするための追加工費用を計上する。旅費として、応用物理学会とアイソトープ研究会での発表を予定しており学会で成果発表を行うための旅費及び参加費を計上した。
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Research Products
(1 results)