2013 Fiscal Year Annual Research Report
腐食と疲労の連成破壊に対するマルチフィジックス計測システムの開発
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24760074
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
桑水流 理 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40334362)
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Keywords | 環境強度 / 腐食疲労 / ガルバニック腐食 / 酸化皮膜 / 腐食電位 / 分極曲線 |
Research Abstract |
平成25年度では、ADC12アルミニウム合金ダイカストの腐食特性に対する応力の影響を実験により評価した。0.1% NaCl水溶液中で低速引張試験を実施し、本研究で開発したマルチフィジックス計測システムを用いて、試験中の応力、ひずみ、腐食電位、腐食電流を計測した。その結果、応力が降伏応力を超えたところから、腐食電位が徐々に低下することが明らかとなった。また、鋳肌と研磨面をそれぞれ計測したところ、鋳肌の方が降伏後の腐食電位降下が大きいことが明らかとなった。次にADC12の低サイクル腐食疲労試験を実施したところ、低速引張試験とは異なり、腐食電位が徐々に上昇する傾向が計測され、その原因究明が次の課題として明らかとなった。 研究期間全体では、1年目(平成24年度)に、試験システムの設計及び製作を行い、予備試験として、一定応力下の分極曲線測定を行った。その際、試験片の観察部以外に対するコーティングによる絶縁性と強度の両立が困難であることが明らかとなり、様々なコーティングを試し、最適なコーティング法を決定した。また、試験片固定冶具もコーティングの損傷を抑えるように改善を行った。2年目(平成25年度)には、上述の通り、開発したマルチフィジックス計測システムを用いて、低速引張腐食試験と低サイクル腐食疲労試験を実施した。それらの実験結果より、アルミニウム合金ダイカストの腐食特性に対する力学負荷の影響、特に腐食電位に対する応力の影響が定量的に評価できた。 今後の課題点として、腐食電流の解像度不足とその場観察CCDカメラの解像度不足が明らかとなった。今後は、計測システムの高度化を図り、腐食速度を定量的に評価するとともに、有限要素解析の結果と比較することにより、より詳細な応力・ひずみの影響を評価する予定である。
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