2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポアソン効果により高エネルギ吸収特性を発現する傾斜フォーム充填衝撃吸収構造の開発
Project/Area Number |
24760076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
樋口 理宏 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (50455185)
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Keywords | 衝撃 / エネルギ吸収 / シンタクチックフォーム / 材料設計 |
Research Abstract |
本研究課題では,薄肉円筒に軽量なコア材として内挿したシンタクチックフォームのポアソン効果と傾斜構造を効果的に利用した新規の衝撃吸収構造の開発を目的としており,本年度に実施した研究内容および成果は以下の通りである. (1)コア材のエネルギ吸収量を向上させるために充填するマイクロバルーンを樹脂製からガラス製に変更し,均質フォームを充填した薄肉円筒のエネルギ吸収量評価を行った.同時に,母材樹脂として強度のひずみ速度依存性が高いエポキシ樹脂の検討を行った.ガラス製マイクロバルーンによりフォームのプラトー応力が向上し,母材樹脂の強度のひずみ速度依存性により高い静動比が得られることが明らかになった.さらにアルミニウム合金から成る薄肉円筒単体と比較して,単位質量あたりのエネルギ吸収特性を30%程度向上させることが可能となった. (2)高速衝撃下における衝撃吸収特性とコア材の傾斜構造あるいは薄肉円筒の幾何形状の関係を明らかにするために,フォームと薄肉円筒についてそれぞれ高速衝撃下の動的挙動の評価を行った.薄肉円筒単体について,高速衝撃を受ける場合は円筒の衝突端側のみの肉厚を大きくすることで衝撃エネルギ吸収特性を増加させつつ被保護空間への衝撃力を緩和できることを明らかにした.またフォームについては衝突側を高密度で高剛性とし被保護空間側を低密度で低剛性とすることで,上記薄肉円筒の場合と類似した効果が得られることがわかった.つまり高速衝撃下では構造の慣性効果を利用することで特殊な衝撃吸収特性を発現可能となる. (3)低速衝撃下においては構造内の慣性効果の影響は小さく上記のような衝撃吸収特性は期待できないが,シンタクチックフォームの材料特性を傾斜分布あるいは積層分布させることで,二段階のプラトー応力領域を発現する等,荷重-変位線図を操作可能であることがわかった.
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Research Products
(5 results)