2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ金属粉末射出成形の高品質・高機能化のための革新的バインダシステム
Project/Area Number |
24760079
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長田 稔子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90452812)
|
Keywords | 金属粉末射出成形 / 脱脂 / バインダ / 機械的特性 |
Research Abstract |
金属粉末射出成形法のマイクロ化における非常に大きな問題は,バインダ量の増加である.粉末粒径が小さくなると,比表面積の増大が激しいため,粉末間の摩擦を抑えて,射出成形時の流動を容易にする必要が生じるため,多量のバインダが必要となる.一方バインダは焼結前に除去する必要があり,溶媒脱脂や加熱脱脂が行われるが,この脱脂プロセスは最終製品の変形や欠陥に直結する射出成形プロセスの核心部である.本研究ではμ-MIMの品質向上を狙い,脱脂メカニズムの解明と従来材料を根本から見直した全く新しいバインダシステムの検討を行った. まず脱脂メカニズムを詳細に検討するため,導入した高温その場観察装置により,脱脂挙動の観察も行い,これらの評価手法の有効性を確認した. さらに,分解点の高いポリイミドを添加し,脱脂時の保形性向上による変形抑制を試みた.600 °Cでの脱脂体の観察により,ポリイミドが形状を保ったまま存在することを確認した.加熱脱脂および焼結中のその場観察により変形量を測定した結果,加熱脱脂時の変形を抑制することは確認したが,焼結時に変形が大きくなることがわかった.焼結体中に炭素が残存することから,ステンレス鋼では強度の増加が見られた. 一方,バインダに無機物質を含む新たな樹脂成分を添加することを試みた.シリコーンゴムを利用しSi分を調整した焼結体を作製した結果,相対密度,強度および伸びの向上が見られた.これにより,焼結時に無機物質が金属間化合物を形成したり,無機物質を介在物として存在させれば,結晶粒成長の抑制やき裂の進展を阻止するなど,機械的特性の向上も期待できる上,添加する無機物質の種類によって様々な機能を有する付加価値の高い焼結体を得られる可能性を示唆した.
|
Research Products
(1 results)