2012 Fiscal Year Research-status Report
形状記憶合金リボン材の高疲労強度化技術の構築と温熱排水用熱エンジンの試作
Project/Area Number |
24760082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
長 弘基 大分大学, 工学部, 助教 (00435421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形状記憶合金 / 疲労強度 / 排熱回収 |
Research Abstract |
形状記憶合金の高耐久性化を目指し、形状記憶合金に連続的な変形を与える疲労試験機を製作し、熱処理方法および加工条件が形状記憶合金の疲労寿命に及ぼす影響について調べた。また高耐久性化した形状記憶合金を用いた低温排熱回収用エンジンの開発のため、熱エンジン装置の試作を行った。 疲労試験機の製作は終了し、実際に疲労試験を行った。その結果、形状記憶合金の疲労寿命は加工・熱処理条件に強い依存性をもたないことが明らかになった。しかし、形状記憶合金はその表面状態(酸化皮膜の有無や研磨の状態など)により疲労寿命が大きく変動することを明らかにした。このことから、エンジンなどに使用する場合も、用いる形状記憶合金の表面状態を良好に保つ必要があることがわかった。 また同時に、従来作製した渦巻きばね方形状記憶合金熱エンジンをより高出力化するための改良点を盛り込んだ新型の熱エンジンの試作を行った。しかし製作途中に装置の仕様変更などが行われたため、24年度の年度内には装置の完成しなかった。本装置は25年度4月中に完成の予定であり、装置が完成し設置され次第、エンジンの特性についての研究を行い、低温排熱回収のための研究を行う予定である。 また、本装置を用いて、これまでに明らかになった形状記憶合金素子の表面状態の影響についても調べるため、表面状態を変化させた渦巻きばね型形状記憶合金素子を用意し、実際にエンジンに組み込み、エンジンの出力特性および製品寿命に与える影響を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究目的の「形状記憶合金の高耐久性化」に関しては、熱処理や加工条件よりも素子の表面状態が大きく作用することが明らかになり、さらなる高耐久性化のためには表面状態のより詳細な研究が必要である。そのため、25年度以降は素子の表面状態に着目しさらなる形状記憶合金の高耐久性化を目指すことを目的としている。そのため、「高耐久性化」という目的に関しては当初目的より大きく進展している。 しかしながら、もう一つの目的である「低温排熱回収用の形状記憶合金熱エンジン」の製作が遅れている。装置自体はすでにほぼ完成しており最終調整段階であるため、本年度で遅れを十分に取り戻せると考えられる。 これら理由が、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に完成しなかった新型の渦巻きばね型形状記憶合金熱エンジンを完成させる完成した熱エンジンを用いて、新型のエンジンの出力特性や製品寿命などについての研究を行う。 また、前年度から引き続き、形状記憶合金の高耐久性化のための研究として、素子の表面状態を変化させた形状記憶合金素子の疲労寿命について調べ、表面状態が形状記憶合金の疲労寿命に及ぼす影響について調べることで、高耐久性を示す形状記憶合金の製作方法について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新型の熱エンジンの仕様変更に伴い、今年度内中にエンジンを完成させることができなかった。そのため、前年度からの繰越額(残額)によりエンジンを完成をさせるために必要な機器の購入などを行う。 また、形状記憶合金素子の表面状態を変化させるための処理を行うための機材や装置などを購入する。 さらに、得られたデータなどをもとに、学会発表・論文投稿を行う。
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Research Products
(15 results)