2013 Fiscal Year Research-status Report
形状記憶合金リボン材の高疲労強度化技術の構築と温熱排水用熱エンジンの試作
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24760082
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
長 弘基 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00435421)
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Keywords | 形状記憶合金 / 排熱回収 / 疲労特性 / 熱エンジン / 疲労強度 |
Research Abstract |
1. 形状記憶合金の高疲労強度化の研究 昨年度は、表面を機械研磨したTi-Ni形状記憶合金(機械研磨材)の疲労特性と破壊の傾向を調べたが、本年度はさらに、表面を化学研磨することによりさらなる平滑化を行った試料(化学研磨材)を作製し、その疲労特性を調べた。その結果、付与するひずみが3%以下であれば機械研磨材と化学研磨材の疲労特性の差異は少ないが、3%以上の付与ひずみの場合は、化学研磨材の疲労寿命は機械研磨材と比較し大きく向上することがわかった。破面の観察により破壊の傾向を調べたところ、すべての試料において表面からの破壊が行われていた。このことから、表面の破壊を起こりにくくすることにより疲労寿命を改善できることがわかった。 2. 形状記憶合金熱エンジンの研究 昨年度は、ワンウェイクラッチおよびギアにより、常に一方向の回転力を出力する機構の渦巻きばね型形状記憶合金熱エンジンを試作し、その特性評価を行った。しかしこの機構はギアやワンウェイクラッチの駆動損失が大きく、出力が大きく低下するという問題点があった。そこで本年度はプーリーベルトにより駆動する機構を考案した。本機構は以前の機構と違い、駆動時に回転方向の変化が起こる。しかし回転方向が変化しても発電を行えるように、整流子および蓄電装置を組み込んだ。この機構は問題なく動作することは確認できており、現在、本装置の出力特性についての詳細なデータの取りまとめを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は熱処理や加工条件が疲労特性に及ぼす影響を調べており、本年度は表面状態が疲労特性に及ぼす影響について調べた。表面状態の変化により大きく疲労特性が変化すること、およびその理由を解明することができたので、次年度はさらなる疲労特性の向上を 目指した研究を推敲する予定である。そのため、「高耐久性化」という目的には当初目的に対し大きく進展している。 「熱エンジン」に関しては、本年度は試作しその動作特性を調べることができたものの、新しい機構への変更などを行っており、当初目的に対しやや遅れた状態である。だがエンジン自体はすでに完成しているため、次年度でその特性評価を行なうことにより、ほぼ遅れのない状態となる。 また、上記の研究結果を論文としてまとめ投稿している。 以上の理由により、研究は概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、形状記憶合金素子のさらなる高疲労強度化を目指し、表面を雰囲気熱処理することなどにより、表面を硬化させるなどの処理を行った試料を作製し、さらなる高疲労強度化が行えるかの研究を行ない、最終的なデータの取りまとめを行なう。 また、新しく試作した熱エンジンの特性評価を行い、その性能についてのデータの取りまとめを行なう。 さらに、現在得られているデータについて取りまとめ、学会発表および論文投稿を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は異動にともなう機器の購入や、新しい機構のエンジンの試作に所属機関の研究予算を投入するなどの処置を行ったため、当初予定から差異を生じた。また、異動などにより当初予定していた欧州での国際会議への参加が難しくなったため、参加する国際会議を変更するなどの処置を取らざるを得ず、講演キャンセルにより生じた費用なども計上されたため、使用計画が変更された。 本年度は、昨年度までに試作したエンジンのさらなる改良や、エンジン出力の測定機器の更新、および疲労特性の研究を継続するための諸経費の他、本年度までに得られたデータを取りまとめ、積極的に国内・国際学会にて発表を行なう。
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Research Products
(7 results)