2013 Fiscal Year Research-status Report
溶解性モールドを用いた複合材料のインプリント表面機能化プロセスの確立
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24760086
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松崎 亮介 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20452013)
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Keywords | ナノインプリント / 表面処理 / 複合材料 / 接着 |
Research Abstract |
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は比強度・比剛性が高く,航空宇宙産業に広く利用されている.CFRPの接合には接着接合が多く見受けられるが,強い接着強度を得るには表面処理が必要となる.しかし,従来の表面処理方法である,サンドブラストやプラズマ処理は,材料成形後の工程を増加させるだけでなく,粉塵の発生など作業環境悪化の原因にもつながる. この問題を解決するために,著者らはNanoimprint lithography(NIL)を用いてCFRPの接着表面を微細加工する手法を提案し,接着強度,破壊靭性の向上が可能であることを示した.しかし,インプリント転写に使用される離型剤が微細構造表面に残留し,接着強度が低下する問題があった.また,従来のモールドは金属製であるため,離型時を考慮すると引抜き離型が可能な2.5次元構造のみ限定される課題もあった. 本研究では,溶解性材料を用いたモールドを使用し,離型時に溶解させることで,離型剤を使用せず,3次元表面構造の転写を可能にする表面処理手法の構築を目的とする.また,実際に複雑な3次元インターロック構造を有する溶解性モールドを用いて接着界面破壊靭性試験を行い,3次元インターロック構造の有用性を検証した. 3次元表面構造モールドを作製し,2.5次元表面構造,サンディング表面とモードI接着界面破壊靭性値の比較を行う為にDCB試験を実施,試験後の断面を観察した.2.5次元と3次元でき裂の進展部が異なり,2.5次元は,接着剤と凹部の剥離と,凹凸自体の破壊が交互に起きていたが,3次元は凹凸構造と接着剤がしっかりくっついて,モールド内でき裂が進展した.さらに屈折してき裂が進展する2.5次元の場合はき裂の長さが長くなるので,靭性値が高くなった. このようなき裂進展の違いがあるので,凹凸構造自体の強度が高くなった場合は3次元構造が有用であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,炭素繊維の配向角,凹凸の斜角化など特殊な表面形状を作製し評価を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素解析を用いて,任意の微細構造に対して,転写性と発現される機能の両特性を予測する技術を確立する.さらに,微細構造の寸法や形状をパラメータとした最適化を実施することで,従来のランダム表面では得られない特殊な機能の発現を達成する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた治具を,自作することで物品消耗品を抑制した. 研究遂行に必要な消耗品の購入に充てる.
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