2012 Fiscal Year Research-status Report
マイグレーション構造を考慮した天然繊維糸複合材料の強度特性
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24760087
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 理恵 日本大学, 工学部, 助教 (40615598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 天然繊維 / 複合材料 |
Research Abstract |
撚糸は強化形態の利点から,天然繊維強化複合材料(グリーンコンポジット)の強化材として使用される.繊維工学分野では,多くの天然繊維を集合し撚りを加えた撚糸について様々な研究が行われてきた.しかし,天然繊維を樹脂と複合化させた天然繊維撚糸強化複合材料に関してはその機械的性質は十分に明らかにされていない.天然繊維撚強化複合材料分野の更なる発展のためには,撚りの幾何学的構造を踏まえた力学特性の解明が不可欠といえる.そこで,本研究では撚糸の構造を考慮した構成式を提案することを目指し,撚糸本数および撚り角が撚糸複合材におよぼす影響について調査し,撚糸複合材の破壊メカニズムを明らかにすることを目的としている. 平成24年度は,撚糸間の拘束が撚糸の引張強度に及ぼす影響について調査した.撚り数を変化させた撚糸と高い引張強度と低い引張強度を示す2種類の樹脂からなる撚糸強化複合材料を作製し,その引張試験を実施した.撚り数が小さい場合,両者の引張強度は大きく異なるが,撚り数が増加するに従い両者の値がほぼ同等の値を示すことが明らかとなった.一般的に,繊維配向が軸方向から傾くとせん断破壊が引き起こることが知られている.しかし,本研究結果は逆の傾向を示しており,撚糸の間の拘束によりせん断破壊が抑制されたものと考えられる.そこで,撚り数を変化させた5本撚りの撚糸から1本の撚糸を引き抜く試験を実施した.これより,撚り数が増加するに従い拘束力が増加することが明らかとなった.よって,撚糸の引張強度と撚糸の拘束力に関係があるとされる.また,撚糸の拘束力を考慮したシアラグ理論によるプログラムの作成も行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
撚糸機の購入の遅れ,またプログラム作成に時間がかかっているため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は撚糸本数および撚り角が撚糸強化複合材料の強度特性におよぼす影響について調査した.平成25年度は撚糸強化複合材料の破壊メカニズム解明を目的とする.まず,シアラグ理論を用いたシュミレーションを行う予定である.解析では,1本の撚糸中において単糸が破断するとどのように応力集中するのか,もしくは撚糸中の単糸ひとつずつの強度を算出する.単糸が次々に破断していく様子をシュミレーションする予定である.撚糸の撚り数の変化は,モデルの繊維を傾斜させることで考慮が可能と考えられる.モデルにおいては,Hearleらの理論に従い横方向の応力を考慮する予定である.また,撚糸中の単糸は構造が安定する位置へ移動する幾何学的構造(マイグレーション)をとる.そこで,CTスキャンを用いた撚糸の構造の解明も併せて行う.昨年度と同様に山口大学の合田公一教授にアドバイスを頂きながら,研究を遂行する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの結果をまとめ,9月にベルギーで行われるTex-comp11および12月にアメリカで行われるTHERMECで発表する予定である.そのための旅費と打ち合わせ費用を献上する.また,CTスキャンの使用や数値解析ソフトの利用に研究費を使う予定である.
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Research Products
(1 results)