2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ分散材料のコーティングによる先進複合材料の超長寿命化
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24760089
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
荒尾 与史彦 同志社大学, 理工学部, 助教 (40449335)
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Keywords | 複合材料 / ナノ粒子 / 混錬 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブに代表されるナノフィラーは,機械的特性や熱,電気特性に優れるため,高分子の特性を改善させる添加剤として期待されている.しかしながら,ナノサイズのフィラーではファンデルワールス力により凝集して,分散が難しく,高分子に混ぜ込んでも期待した効果は得られなかった. 本研究ではナノフィラーの分散性を向上させ,高分子材の特性をさらに引き出すための研究を行った.まずは基礎研究として,混練におけるどの因子がナノ分散を促進させるかの検討を行った.細管を高速流動させることでシンプルな応力場を形成させ,その応力場における分散を促進させるパラメータを検討した結果,せん断応力の大きさには分散性は依存せず,与えたエネルギーによって分散が大きく影響を受けることを見出した,これは強いせん断応力をかけるだけでは,ナノフィラが再凝集するため,最凝集を防ぐためにフィラー同士を引き離すひずみ量が重要となるものと考察している.この結果を日本機械学会誌の論文としてまとめている. 次に上記の結果を連続量産化プロセスである二軸押出機に適用した.二軸押出機のスクリュー形状を工夫することで,混練の際に付与するひずみエネルギーを大きくすることができ,ナノフィラーの分散をさらに促進させるスクリュー形状を提案することができた. このスクリューを用いて,ナノコンポジットの作成を試みた.ポリ乳酸樹脂にナノクレイを加え,このクレイをナノ分散させることに成功し,ポリ乳酸の破断ひずみを300%向上させることに成功し,またガスバリア特性を30%以上改善することができた.通常の混練では上記特性が得られず,今回提案したナノ分散混練の妥当性を実証した. また,繊維強化プラスチックにナノ分散した樹脂を用いた.ナノフィラーを入れることで,界面強度が改善され,複合材料の強度が大幅に向上することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ分散に関わる基礎的な知見をえることができ,この分散を促進させることが出来るようなスクリュ形状等の提案をしている.また,提案したスクリュで混錬することで,ナノ分散を促進させることができ,高分子材料に様々な性質を付与することを実証している. しかしながら,コーティングとして用いる場合のバリア性能としては,大幅な改善は得られていないのが現状である.これはナノフィラーの含有量が1-5%程度の微量であることに起因している. このバリア特性を向上させるためには,ナノフィラーの高分散は勿論のこと,高含有率化,配列制御が不可欠となる.
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Strategy for Future Research Activity |
ナノフィラーが高含有率で,かつ分散した状態で配列するコーティング材を開発する.成形方向を溶融混練法から,超音波などが用いることが出来るようなフィルムキャスト法に変更し,高含有率で分散性に優れるコーティング材を開発する予定である.この含有率と成形プロセスが,バリア特性に及ぼす影響を調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の分だけ費用が余剰であまり,その分を次年度に使用する。 余剰で余ったものは,物品費として消耗品に使用する。また,計画としてナノ分散溶液を分離する遠心処理機や,分散度を評価するために光学装置を購入する予定である。
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