2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ分散材料のコーティングによる先進複合材料の超長寿命化
Project/Area Number |
24760089
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
荒尾 与史彦 同志社大学, 理工学部, 助教 (40449335)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 複合材料 / ナノ分散 / コーティング / 難燃化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,従来の繊維強化プラスチックにナノ分散させたナノフィラーを加えることで,更なる高強度化,長寿命化,そして高機能化を図ることを目的として研究を遂行した。ナノフィラーを直接複合材料に混ぜ込む手法と,ナノ分散スラリーを調製し,それをコーティングさせる2つの手法を試みた。 まず溶融樹脂にナノフィラーを混ぜ込んでナノ分散させる手法を検討した。まず溶融混練する際に重要な指標を探るために,単純な応力場となるよう細管に樹脂を流動させることでせん断力を付与した。その結果,ナノフィラーを分散させるためには,せん断応力を高めるよりも,付与するエネルギを高めることが重要であることが分かった。また,この溶融混練法では完全なるナノ分散を実現することが難しく,かつフィラー添加による粘度増加のため,ある程度の分散性を担保しながら混ぜるためには重量含有率は5%以下に設定しなければならない。この基礎研究をもとに,二軸押出機のスクリュー構成,条件を設定し,量産システムにおけるナノフィラーの高分散化を確立した。 ナノコンポジットと炭素繊維を混ぜ込むことで,ハイブリッド型の複合材料を作成した。ナノフィラーとして有機処理クレイ,カーボンナノチューブ,アルミナ粒子,シリカ粒子などと炭素繊維,樹脂をハイブリッドさせた。結果として,有機処理クレイでは,樹脂を層間挿入させて引き込む作用があり,炭素繊維と樹脂の界面接着強度を弱める作用がある一方で,その他のナノフィラーは繊維/樹脂界面の接着力を高め,複合材料を高強度化させる作用があることを見出した。 最後にナノ分散を保ったまま,含有率を50%以上まで高めたコーティング材を調整し,そのコーティング材の機能性を評価した。このコーティング材を塗布することで,ポリプロピレンなどの易燃性樹脂の難燃化に成功し,水平燃焼試験においては自己消火機能を付与することに成功した。
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