2012 Fiscal Year Research-status Report
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24760092
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
川上 健作 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70353216)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生体力学 |
Research Abstract |
本研究では,1 方向正面動画による簡易動作解析方法を確立し,異常動作の検出や正常動作と異常動作の比較を行うことを目的とし,以下の点について検討した. ・1 方向正面動画による動作解析方法および体幹動揺解析の検討 1 方向正面動画を用いた動作解析のために上前腸骨棘間距離を基準として記録対象の倍率補正する方法について1 方向正面動画撮影と3 次元動作解析システムの測定を同時に行うことにより,本補正方法の精度および1 方向カメラの設置におけるカメラ位置および傾きによる結果への影響を検討した.その結果,1方向正面動画による結果は3次元動作解析システムによる結果と定性的に一致しており,1方向正面動画でも定量的な誤差はあるが,歩行解析は可能だと考えられた.また,医師などが観察により異常歩行と判断できるのは,体幹の動揺が大きく影響していると考え,1 方向正面動画による歩行解析から前額面上での体幹の図心を算出し,その左右,上下の動揺および体幹の傾きを健常者にて検討した.その結果,図心動揺では左右動揺の周期が上下動揺の周期に比べて平均1.94倍であり,過去の報告と一致していた.また,体幹の傾きについては健常者では約±3°程度であった.この結果より,正面動画において健常者の体幹動揺が捉えられたことから,異常歩行の検出も可能であると考えられた. ・1方向正面動画による歩行時のアライメント評価の検討 正面より見た大腿と下腿の角度を計測し,下肢に作用する荷重や下肢の変形を評価するものである.健常者を被験者として撮影した正面歩行動画から各下肢関節の関節中心を算出し,それにより大腿と下腿のアライメントと下肢荷重線の評価を行った.1方向正面動画を用いた測定方法により,歩行中の前額面下肢アライメントの評価は可能であり,膝関節スラストなどを定量的に評価することができる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
整形外科分野の臨床診断やリハビリテーションでは,医師や理学療法士による客観的な動作観察に基づく診断もしくは異常動作の把握が大きな役割を担っている.このような動作を定量化する場合,光学式の皮膚マーカを用いた2 次元または3 次元動作解析が広く行われている.しかし,現在の運動解析では高額なシステムやそのための大面積スペース,解析のための専門知識などが必要であり,とても通常の臨床現場で行えるものではない.そこで本研究では,一般的なビデオカメラ1 台により医師や理学療法士などが観察により得ている動作の異常を定量化する簡易動作解析方法について検討する. 平成24年度では,1 方向正面動画を用いた動作解析のために上前腸骨棘間距離を基準として記録対象の倍率補正する方法について1 方向正面動画撮影と3 次元動作解析システムの測定を同時に行うことにより,本補正方法の精度および1 方向カメラの設置におけるカメラ位置および傾きによる結果への影響を検討し,その結果,1方向正面動画による結果は3次元動作解析システムによる結果と定性的に一致しており,1方向正面動画でも定量的な誤差はあるが,歩行解析は可能であることを確認した.また,本方法において健常者の体幹動揺が評価できることも確認した. 以上の進行度は,研究計画通りに進んでおり,おおむね順調に進んでいると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,病院において患者の歩行解析時,あるいは外来受診時に本人の了承の基,正面ビデオ撮影を行う.撮影協力は新潟医療福祉センターもしくは函館整形外科クリニックに協力をお願いする.対象動作はカメラに向かって歩く歩行動作とする.本方法を用いて実際の下肢疾患患者のビデオ画像において倍率補正により得られた結果から前額面上での体幹の図心を算出し,その左右,上下の動揺を健常者と比較して,異常歩行を検出可能であるかを検討する.また,1方向正面動画により下肢アライメントの評価が可能であったことから,実際に膝関節スラストを有する患者の動画から本方法において膝関節スラストが検出できるか検討する. また,本方法における下肢アライメント評価が,前十字靱帯損傷のリスクであるknee-inの評価に適用できないか検討する.実際には,健常者においてスクワット動作時の下肢アライメントを本方法において計測し,下肢荷重線と膝関節中心の位置関係からknee-inの評価が可能であるか検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額」が発生したのは,当初年度末に本研究に協力や助言をいただいている新潟大学医学部との打合せを予定しており,そのための旅費を確保していたためである.しかし,双方の都合がどうしても調整できずに年度を超えてしまったため,次年度に繰り越すこととなった. 平成25年度の当該研究費の使用計画としては,協力いただく新潟の病院や大学との研究打合せや実際の計測のための旅費,その他ビデオ撮影に必要なカメラや三脚,マーカなどに使用する予定である.
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Research Products
(1 results)