2013 Fiscal Year Annual Research Report
格子画像の位相情報に基づく大型構造物の高精度高速全視野変位・ひずみ計測法の開発
Project/Area Number |
24760095
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
李 志遠 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70509710)
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Keywords | 変位ひずみ分布計測 / 大型構造物 / 健全性評価 / 繰り返し模様 / モアレ縞 / 位相解析 / フーリエ変換 |
Research Abstract |
本研究は、格子画像の位相情報を活用した高精度な全視野変位・ひずみ計測手法を開発するものである。今年度では対象構造物表面の規則性模様の位相情報を有効活用した高精度高速な全視野変位・ひずみ分布を測定できる計測手法の測定精度を確認し、大型構造物である吊り橋のたわみ計測へ適用した。主に得られた研究成果を以下に示す。 1.繰り返し模様を利用した変位計測法の精度確認 前年度に開発した任意の繰り返し模様に対応できる変位分布計測法の測定精度を明らかにした。実験では従来の矩形波に加えて、アルファベットのAや数字の3、さらに漢字を規則性模様とみなし、精密移動ステージで与えられた移動量と比較することで精度評価を行った。その結果、模様の種類によらず、模様ピッチの1/1000の精度で安定した変位量を検出できることを確認できた。 2.引張試験によるひずみ計測法の精度確認 サンプリングモアレ法によって得られるモアレ縞の位相分布から自動的に撮影画像上の格子ピッチを算出する方法を考案した。これを用いて変形前後の格子ピッチの変化からひずみ分布を測定することができた。アルミ試験片を用いて引張実験を行った結果、弾性域内の2000マイクロストレイン以下の微小ひずみを測定することができ、ひずみゲージで得られたひずみ量とよく一致した結果が得られた。 3.大型構造物(吊り橋)のたわみ計測への適用 本研究で開発した変位分布計測法を大型構造物である吊り橋(支間長367m)のたわみ計測へ適用した。橋梁にマーカーを貼付けることなく橋梁が持つ周期的なトラス構造を繰り返し模様とみなし、トラックの通過に伴い橋がセンチメートルのオーダーでたわむことを計測できた。汎用的なデジタルカメラで橋梁を撮影するだけで、全体のたわみ分布を得られることから、低コストな検査手法として期待できる。
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