2012 Fiscal Year Research-status Report
研削面創成メカニズムの解明および超安定超精密研削への応用
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24760096
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉原 信人 岩手大学, 工学部, 准教授 (80374958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 超精密超安定研削 / ナノトポグラフィー / 統計的研削理論 / 研削面粗さ / 研削面うねり |
Research Abstract |
本研究は,研削面を平滑化・均一化するために最適な研削条件を明らかにすることを目的とする.そのために平成24年度は統計的研削理論の確立とナノトポグラフィー創成理論の確立を目指して研究を行った. 統計的研削理論に関しては砥粒を半頂角が一定ではない形状と近似する研削モデルを新たに提案した.様々な砥粒切込深さ条件下で得られた砥粒切削痕を測定することにより,実際の砥粒半頂角の分布を明らかにした.その結果,砥粒半頂角の分布は一定ではなく,砥粒切込深さによって変化することが明らかとなった.これにより提案した研削モデルの妥当性が確認されたものと考えられる.この砥粒半頂角が一定ではない研削モデルを統計的研削理論に導入することにより,砥石半径切込み深さや,研削点の微小な振動が研削面粗さに大きな影響を与えることを理論的にも示すことが可能となった. ナノトポグラフィー創成理論に関しては研削点の微小な振動が研削面のうねりに与える影響をシミュレートする手法を提案し,その有効性を示した.このシミュレーション法を用いて,研削点の振動周波数と工作物の往復周波数がナノトポグラフィーの分布に与える影響について明らかにした.またナノトポグラフィーの影響を小さくする研削条件が周期的に存在することが明らかとなった.また研削面の断面プロファイルから実際の研削条件を特定し,研削条件を最適値に補正する補正研削法を新たに提案することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「研削面を平滑化」に関しては統計的研削理論の検討を通して,その基盤が十分に確立されたものと考えられる.またもう1つの目的である「研削面の均一化」に関してもナノトポグラフィー創成理論の検討により,理論的に均一化するための基盤が確立された.したがって現在までのところ,計画通り研究が進んでいるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの理論的な解析を基に,平滑化・均一化を目指して実際の研削条件の最適化を行う.そのために以下の2点に重点を置いて研究を進める. 1. 超精密研削を実現するための研削条件選定指針を得る (統計的研削理論とナノトポグラフィー創成理論の統合,最適研削条件の導出) ナノトポグラフィーと研削面粗さに関する理論を統合し,両者とも最適化される研削条件の選定指針を明らかにする.また選定した研削条件と実際の研削条件の間には誤差があると考えられるため,研削条件の誤差を判定し補正する機能を有する超安定超精密研削システムの構築を行う. 2. 研削条件の把握 砥石回転数,工作物送り速度,砥石の振動を非接触変位計を用いて測定する.また使用する砥石の砥粒半頂角の分布を事前に測定し,砥石作業面状態の影響も把握する.このような環境下で研削抵抗,研削面粗さの測定も行い,研削面創成メカニズムを推測・確認するためのデータとする.また,この結果を理論解析の結果と比較することにより,理論的に導出された最適な研削条件の妥当性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)