2012 Fiscal Year Research-status Report
多軸応力を受ける多結晶金属の塑性異方性を検出する材料試験の開発
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24760098
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 健吾 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70436236)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 多結晶金属 / 塑性変形挙動 |
Research Abstract |
多結晶金属の塑性変形挙動のモデリング手法として,塑性加工の分野では現象論的構成式が最も一般的である.近年は,結晶塑性モデルを利用して,結晶方位および結晶構造の影響を直接的に解析に取り組む試みもなされている.このような状況の中,塑性構成則の開発および利用においては,その妥当性を精確な実験によって検証する必要がある.円管の多軸応力試験では,軸方向応力,円周方向応力,せん断応力の3つの応力成分を独立に負荷することができ,多様な応力状態を作り出すことができるため,構成則を検証するための材料試験として適した方法と言える. 本研究では,武田らが開発した手動操作による油圧駆動型の軸力-内圧-ねじり型の多軸応力試験機を改良し,電磁バルブを用いた閉ループ回路を構築することで,真応力経路をPCにより制御可能な試験装置を開発した.供試材として,A3003円管材を用いて塑性変形挙動の測定を行った.実験では,試験片に3つの応力成分の比を一定に保持するような線形応力経路を負荷した.実験により得られた真応力-対数ひずみ曲線から塑性仕事を求め,等塑性仕事の概念を用いて本供試材の塑性変形挙動を定量的に評価した.管軸方向単軸引張試験において,管軸方向塑性ひずみが任意の値 に達した瞬間の累積塑性仕事を求め,種々の応力比の線形応力経路において,単軸引張試験における累積塑性仕事と等量の塑性仕事を消費した瞬間の応力成分を応力空間に図示して等塑性仕事面を作成した.その結果,以下のことが明らかとなった.供試材A3003円管は,明らかな異方硬化挙動を呈することが分かった.さらに異方硬化挙動の程度は,軸方向応力-円周方向応力および軸方向応力-せん断応力の2軸応力状態でそれぞれ異なるものであった.また,3軸応力試験では,最大となる応力成分により,異方硬化挙動の程度が決定されることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験装置の改造が完了し,実験の再現性の検証も終了した.さらに,アルミニウム合金管の塑性変形挙動の測定を終了した.以上は,平成24年度に計画していた研究内容である.
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Strategy for Future Research Activity |
実験をさらに追加して,種々の実験条件におけるデータを精密に分析し,材料の塑性変形挙動を詳細に理解する.それと同時に結晶塑性モデルをベースとした数値解析により,実験において測定した塑性変形挙動が発現するメカニズムを材料科学的な観点より明らかにする.そして,それを巨視的塑性理論に還元し,複雑な塑性変形挙動を表現可能な数理構造を構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は追加で実施する実験のために必要となる物品の経費,学会における成果発表および情報収集のための旅費,論文執筆に関する英文校閲費が予定している支出である.
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Research Products
(1 results)