2013 Fiscal Year Annual Research Report
多軸応力を受ける多結晶金属の塑性異方性を検出する材料試験の開発
Project/Area Number |
24760098
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 健吾 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70436236)
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Keywords | 塑性変形 |
Research Abstract |
マグネシウム合金は実用金属中で最も低密度であり比強度に優れる材料である.結晶構造が最密六方構造であり,各すべり系の臨界分解せん断応力が大きく異なっている.さらに,双晶変形を伴うことから,変形モードによって塑性変形挙動が著しく異なっている.特に,引張,圧縮のように負荷方向が反転するような試験においてその差は顕著である.例えば,板材のプレス成形ではダイ肩部において,外側は引張を受け,内側は圧縮を受けるというように,頻繁に生じる変形モードである.マグネシウム合金の実用を検討する上で,その基盤研究としてマグネシウム合金の加工硬化挙動は重要である. 本研究では,前年度に開発した多軸応力試験機を利用して,マグネシウム合金管に引張および圧縮の負荷を与え,塑性変形挙動を測定した.さらに,材料組織をSEM-EBSDによって観察して,変形に伴う組織の変化と加工硬化挙動について考察した. 材料はAZ31押出し円管であり,軸方向には底面が傾かず,円周方向に分散した状態であった.350℃で焼き鈍しを行ったため,変形初期には双晶はほぼない.引張と圧縮の負荷では応力ひずみ曲線の形状が大きく異なった.圧縮において低い降伏応力を示し,そり上がるような応力ひずみ曲線となった.実験後の試験片を観察したところ,圧縮負荷を与えたことにより双晶変形が多く発生していることがわかった.一方,引張では双晶の発生は極わずかであった.双晶は極性を有しているため負荷方向に依存して発生する変形モードである.この双晶の発生が引張と圧縮で加工硬化が大きく異なる要因であることを実験的に示した.本研究で得られて実験結果をさらに深く検討する上で,今後の研究の展望として,双晶変形のモデル化が考えられる.
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Research Products
(3 results)