2013 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞を利用した微細加工技術の確立と応用に関する研究
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24760101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
洞出 光洋 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教 (30583116)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / マイクロマシン / ナノマシン / 精密部品加工 / 生体機能利用 |
Research Abstract |
本研究課題では生物学の知見、特に植物の持つ生殖メカニズムに着目し、生体由来の植物細胞を材料の一種として利用する微細加工技術の確立を目指していく。花粉管・胚珠といった微小でシステム化された組織を利用するボトムアップの手法を確立することにより、低コストでナノスケール精度を実現するマイクロ・ナノデバイスの開発技術に繋げることが目的である。特に、容易なスケールダウン化、高アスペクト比・三次元・任意形状の製作技術は微細加工学において非常に重要性の高い技術であるため、これらの技術へ直結可能な成果を出したい。 具体的な研究計画・方法として、①花粉管を利用した金属材料のパターニング方法についての検討②高アスペクト比・三次元微細構造体等のマイクロ・ナノデバイス構成部品に要求される微細パーツ製作に必要な知見の所得③ナノスケールオーダーの加工をめざし、パターニングのスケールダウン化についての検討④花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法について検討、これら4項目を進めていくこととした。 当該年度においては、③ナノスケールオーダーの加工をめざし、パターニングのスケールダウン化についての検討④花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法について検討、この2つの項目について主に調査・研究を進めた。まずパターニングのスケールダウン化に関しては、マイクロ流路を用いた細胞単離方法について調査し、細胞径よりも小さい流路でもパターニングが可能であることを確認した。最適な流路径と花粉管挙動の関係性については、Microelectronic Engineeringにて報告を行った。また、花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法として、胚珠等の花粉管誘引物質となるものを用いて任意方向へ進路変更させた状態で花粉管をパターニングすることに成功した。これはRSC Asvancesにて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、先に述べた研究計画項目の“ナノスケールオーダーの加工をめざし、パターニングのスケールダウン化についての検討”、および“花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法について検討”この2つについて主に調査・研究を行った。これら2項目については、本研究課題における一番重要な研究項目であり、必要な知見を得るためには先行研究がないなかでの非常にチャレンジングな研究項目であったが、予想以上に興味深い結果を得ることができた。また、両研究項目において、それぞれ国際論文誌、Microelectronic EngineeringとRSC Asvancesにおいて研究成果をまとめ、発表することができたため、当初の計画以上に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により、微細加工技術において有益な知見を得ることができた。これまでには、“ナノスケールオーダーの加工をめざし、パターニングのスケールダウン化についての検討”といった、微細加工においてキーポイントとなる知見を得られたことは非常に重要な成果が得られたと考えられる。そこで、今後の方策としては、“高アスペクト比・三次元微細構造体等のマイクロ・ナノデバイス構成部品に要求される微細パーツ製作に必要な知見の所得”にチャレンジしていきたいと考えている。 この研究課題は、半導体プロセスを含めた他の微細加工技術においても、非常に難易度の高い微細加工技術である。この研究項目の達成により、低コストで複雑形状を有する構造体やマイクロ・ナノデバイスの創生に期待できる。流路に沿って花粉管が伸長するため、この原理を利用し、構造自由度の高い流路を用いる方法などを採用し、花粉管を交差させる等の方法を採用したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、基本的にそのほとんどを所属研究機関内で行った。研究を遂行する際に必要となる、アッセイデバイスの製作やにおいては、半導体プロセス等の微細加工装置やその施設が必要となる。半これらの多くは、大阪大学産業科学研究所内の施設を利用して行い、その他の施設利用として、京都大学ナノテクノロジーハブ拠点、立命館大学SRセンター等を利用した。これらの施設使用料は文部科学省「ナノテクノロジープラットフォーム」等のプロジェクトを活用することで、当初予定していた施設利用量を大きく抑えることができた。また研究進展状況により、アッセイデバイス製作をメインとする研究内容を今年度は重点的におこなったため、研究実績の大部分を占めた当該年度においては、その利用料低減が大幅に大きくなった。そのため次年度使用額が生じた。 研究を遂行する際に必要となる、アッセイデバイスの製作や、金属パターニングなどにおいては、半導体プロセス等の微細加工装置やその施設が必要となる。これらの多くは、これまでに引き続き大阪大学産業科学研究所内の施設をメインに、その他の研究機関も利用して行う予定である。大型装置の購入等は考えていないが、これらの施設利用料は消耗品等を研究費から支払う必要がある。上記のとおり、研究費の多くは消耗品等の購入に充てたいと考えている。 また今年度は計画の最終年といことで、成果も増え、それにともない学会で研究成果を公表する機会が例年以上に多くなると考えられる。そのために必要な出張経費、論文発表の際の諸経費を計上している。 これらを本研究補助金から支出することは、関連法規等に照らしても、十分妥当であると考えている。なお、これまでに行った類似の研究で必要となった経費を基に算定した。
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Research Products
(4 results)