2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
安井 学 神奈川県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (80426361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サブミクロンパターン / 電子線描画 / エポキシ樹脂 / 残渣 |
Research Abstract |
平成24年度はネガ型レジストに対する高速ナノパターン形成技術を開発するために, 1.高融点金属基板に対するネガ型レジストの密着性を向上する技術,2.ネガ型レジストの高速描画法,3.ネガ型レジストの除去法の3点を研究課題に設定した。 1.については,高融点金属 の酸化膜除去が有効であると考えたため,高融点金属のエッチング液である過酸化水素の利用を検討した。しかし,過酸化水素水は高融点金属基板の表面を荒らすことが分かり,酸化膜除去の候補から外した。過酸化水素の表面を粗くしながらエッチングする事が分かった。代替えとして硝酸系のエッチング液を検討した結果,硝酸系エッチング液は高融点金属基板の平滑性を維持しながら酸化膜除を除去する事が明らかになった。 2.については,パターン間のドットを間引くことで描画時間の短縮を目指したが,パターン形状が歪んでしまった。そのため,パターン内のドット数を減らすことにより,描画時間を短縮した。 3.については,ネガ型レジストを300℃で2時間加熱した。しかし,ネガ型レジストは炭化しなかった。次に,添加剤を加えた剥離液を用いてネガ型レジストの膨潤剥離を試した。その結果,添加剤を加えた剥離液がネガ型レジストの膨潤剥離に有効であることが明らかになった。また,ポストベイクの有無によって添加剤の種類が異なることも明らかになった。 また,ネガ型レジストの電子線描画条件を検討することで,原子量の大きい高融点金属基板では電子線の後方散乱の影響が顕著に表れることが分かった。具体的には,ネガ型レジストのナノパターン間で残渣が発生したため,残渣の抑制技術が重要な課題となった。ネガ型レジストの残渣除去を検討した結果,低温でポストベイクを行うことにより,パターン間の残渣の発生を軽減できることを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はネガ型レジスト(SU8)に対する高速ナノパターン形成技術を開発するために, 1.タングステン(W)基板に対するSU8の密着性を向上する技術,2.SU8の高速描画法,3.SU8の除去法の3点を研究課題に設定した。 1.については,W の酸化膜除去が有効であると考えたため,Wをエッチング液である過酸化水素の利用を検討した。しかし,過酸化水素水はW基板の表面を荒らすことが分かり,酸化膜除去の候補から外した。過酸化水素の表面を粗くしながらエッチングする事が分かった。代替えとして硝酸系のエッチング液を検討した結果,硝酸系エッチング液はW基板の平滑性を維持しながら酸化膜除を除去する事が明らかになった。 2.については,パターン間のドットを間引くことで描画時間の短縮を目指したが,パターン形状が歪んでしまった。そのため,パターン内のドット数を減らすことにより,描画時間を短縮した。 3.については,SU8を300℃で2時間加熱した。しかし,SU8は炭化しなかった。次に,アルカリ金属塩を加えたN-メチルピロリドン(NMP) を用いてSU8の膨潤剥離を試した。その結果,塩化ナトリウムを加えたNMPがSU8の膨潤剥離に有効であることが明らかになった。また,140℃でポストベイクを行ったSU8については,塩化リチウムを加えたNMPがSU8の膨潤剥離に有効であった。 また,SU8の電子線描画条件を検討することで,原子量の大きいW基板では電子線の後方散乱の影響が顕著に表れることが分かった。具体的には,SU8のナノパターン間で残渣が発生したため,残渣の抑制技術が重要な課題となった。SU8の残渣除去を検討した結果,ガラス転移温度でポストベイクを行うことにより,パターン間の残渣の発生を軽減できることを突き止めた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究結果から,SU8に対するナノパターン形成において,SU8製ナノパターン間に発生する残渣の除去が課題となった。低出力型のエッチング装置を用いることで,SU8製ナノパターンに与える損傷を少なくし,残渣のみ除去する方策を考えている。 また,Ni-W電鋳ではNi-Wパターンにクラックが入ること,表面に凹凸が発生することが課題となる。これらの現象の主な理由はNi-W電鋳時に取り込んだ水素であると考えている。そのため,上記現象を抑制するには,Ni-W電鋳時に水素の混入を抑制することが有効である。具体的な対策として,ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加し,析出直後のNi-Wパターンの表面エネルギーを下げ、水素をNi-Wパターンから離れ易くする。 上記の2つの課題を解決して,ナノサイズを対象としたガラス熱インプリント用電鋳金型を開発する。加えて,耐熱性,ガラスに対する離型性の観点から,Ni-W パターンのW 含有率が最大となるNi-W電鋳条件を検討する。 また,平成24年度に得られた研究結果を学会発表,論文投稿などで公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究からオゾン水が,W基板表面を粗くすること,SU8製ナノパターン間の残渣除去が必要なことが分かった。そこで,オゾン水関係機器を取止め,新たにSU8製ナノパターン間の残渣除去に必要なソフトエッチング装置1台を平成25年度に導入する予定である。 オゾン水関係機器の購入費としていた130万円は未使用額として平成25年度に繰り越す予定であったが,他の物品の購入価格が予定よりも13万円ほどかさみ,装置購入取止めに伴う繰越金は117万円となった。上記の理由から平成25年度に導入予定であるソフトエッチング装置の購入経費160万円(見積予定)を賄うため,不足金額である43万円を前倒し支払請求した。 また,平成24年度に得られた研究結果の学会発表,論文投稿を予定しており,その費用も考慮している。
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