2012 Fiscal Year Research-status Report
高配向CNT膜による低静止摩擦・高動摩擦材料の開発
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24760116
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00533639)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 摩擦材料 / トライボロジー |
Research Abstract |
精密位置決め機構では、一般に静止摩擦力が動摩擦力よりも大きいため、動き出し時および停止時にのみ大きい摩擦力が作用し目標位置からのずれを引き起こす。また、MEMS等に使用される微小要素では、表面間距離が近いためにメニスカス力等が摩擦力に顕著に影響を及ぼすようになり目的動作の制御を困難にさせている。そこで本研究では高配向カーボンナノチューブ膜を用いた柔軟性のある表面を利用し低静止摩擦・高動摩擦特性を有する表面の開発を目的とする。具体的には「a.静止摩擦が動摩擦よりも大きい」、「b.摩擦係数の変動が大きい」、「c.メニスカスが形成し急激に静止摩擦が増加する(スティクション)」等の問題に対し有効な表面を開発する。すなわち,しゅう動時に相手面との接触によりCNTが変形するために粘弾性による動摩擦の増大、、相手面の表面の微小凹凸に追従する効果を検証することが本研究の主な目的であり、具体的には以下のことを明らかにした. 1.高配向CNT膜の接触状態を観察し摩擦実験するための装置の設計・製作および予備実験を行った.摩擦挙動としてCNTが傾倒している状態で高い摩擦係数を発現することが明らかになり,この結果から動摩擦時の摩擦係数増大の可能性が示唆された. 2.高配向CNT膜の静・動摩擦特性と真実接触面積を計測する実験を行った。高面圧状態では真実接触面積が小さくなるなどのCNT膜のnmスケールでの接触挙動が明らかになった. 3.SiC基板からの試験片の作製を行った。 4.真実接触面観察結果から、接触挙動の解析を行った。平均面間距離などを広視野レーザ顕微鏡による観察画像から解析するための手法を開発している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を実行し目的の成果を得ることができた.また、次年度の内容(研究実績の概要の欄の項目4)を部分的に遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度前半にはCNT膜の摩擦特性についての追加実験を行い基礎的なデータの収集および解析を行う。後半では、得られた結果を基に摩擦特性におよぼすCNT膜の変形の影響を明らかにし、上記目的達成のための最適な設計指針を明らかにする。 目的達成が困難な場合には,表面に対するコーティングや潤滑油塗布などを行うことで目的の摩擦特性達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
擦試験装置に使用するジグなどの消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)