2012 Fiscal Year Research-status Report
オプション理論に基づくアダプティブな設計開発プロジェクト計画とその多目的最適化
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24760120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野間口 大 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 設計工学 / 設計プロセスモデリング / プロジェクトマネジメント / リスクマネジメント / オプション |
Research Abstract |
本研究では,アダプティブな設計開発プロジェクト計画手法の基盤となる設計プロセスオプション理論を先行研究における知見と具体的な事例の分析に基づいて構築するとともに,プロジェクト計画問題を多目的最適化問題として定式化してその解を効率的に探索する手法を確立することを目的とする.最適化問題を数理的に構成するにあたり,本研究では,プロジェクト計画を,プロジェクトの技術的成果とその実施リスクのトレードオフ問題として捉えた.すなわち,資源の量が一定ならば,成果目標が高いほど必要とする資源が多くなり,限られたリードタイムの下でプロジェクトの目標を達成できなくなるリスクも高まる.その問題理解のもとで,研究代表者の先行研究で開発した設計プロジェクト進捗予測モデルと,設計工学分野で開発が進められているアーキテクチャオプション(AO) 理論を発展的に展開することにより,設計プロセスオプションによるリスクヘッジを考慮して成果目標のリスク評価を行うための数理モデルを構築した.AO 理論は技術要素についてのオプションに焦点を絞ったものであり,資源の有限性を考慮していないなどの課題がある.しかし,AO 理論の基本的な考え方は,設計プロセスオプションへの展開が期待できるものであり,本研究ではその具体的な展開を行った.計画問題の最適化に向けた計算モデルの構築にあたっては,先行研究で開発したリスク評価システムに基づいた展開を行った.例題として,学生フォーミュラカープロジェクトを取り上げ,そこでの設計開発プロセスに関する各種のデータを収集し,開発した評価システムによる評価を行った.実際の設計プロジェクトの進捗との比較を通じて,開発した数理モデルの検証を行い,そのもとでのリスク評価が行えることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1.計画問題の構成とその最適化に向けた戦略の策定:研究代表者らは,先行研究において,設計プロセス計画の構造を考慮した上でその最適化問題を(1)プロダクトアーキテクチャ(PA)の計画問題,(2) プロセスにおける各々の活動への資源配分の計画問題,の2つの部分問題に分解して解く方法を提案した.問題(2) はPA の決定が前提となっており,問題(1) で得たパレート解n個を選択し,そのそれぞれを与条件として,問題(2) の最適化計算を行う.n 回の最適化計算のそれぞれについて,パレート解の集合を得る.得られた解全体の中でパレート解となっているものを計画問題全体のパレート解とする.先行研究での手法は,オプションを考慮しない計画問題,すなわち,設計開発の実施内容を途中で切り替えない前提を置いて問題を簡略化した場合に限定したものであるが,オプションを考慮した場合でも同様のアプローチが可能であることを確認した. 課題2.設計プロセスオプションの理論的基盤の構築と最適化問題における評価指標の構築:AO理論を基礎とし,研究代表者が提案している設計プロセスオプションとマイルストーンの管理による計画支援手法を多角的に発展させた上で,プロジェクト計画案の評価指標を構成した.その際,有望なバックアップオプションの存在によるリスク低減を考慮した. 課題3.部分問題の数理モデルの構築:問題(1) に対してDSMを,問題(2) に対してファジィ数を用いた成長曲線モデルを利用して問題の数理モデル化を行った.上記課題2 で構築した設計プロセスオプション理論を踏まえ,それぞれの数理モデルを用いて評価指標を構成した. 課題4.多目的最適化戦略の理論的基盤の構築と実装:多目的最適化問題の具体的な計算に際しては,各種のパッケージソフトの活用とともに,多目的探索アルゴリズムNCGAを活用して,独自のプログラムを開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
課題1~4 を引き続き実施する.平成25 年度では特に,設計プロセスオプション理論とそれを踏まえた最適化戦略の実質化を行う.産業界への展開を通じて,手法の検証と洗練化を行う.平成24 年度に引き続き,手法の構築と実装,および例題を通じた検証とフィードバックを研究代表者の主導の下で,3 名程度の大学院生と共同で行う.また適宜,研究協力者と密接に情報交換を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25 年度においては,最適化手法の実装と検証を進めていくために,最適化計算のパッケージソフトライセンス料金,コンピュータ関連設備の拡充のための経費を計上する.設計工学に関する文献・書籍購入費を計上する.関連分野の研究動向の調査(大阪~東京1 泊2 日× 5 回) および研究成果発表(大阪~東京1 泊2 日× 5 回,米国5 泊7 日× 2 回)のための旅費を計上する.関連して研究成果投稿料を計上する.
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Design Method Selection Matrix for Facilitating Product Platform and Family Design2012
Author(s)
Nomaguchi, Y., Askhoj, A., Madsen, K. F., Akai, R. and Fujita, K.
Organizer
Proceedings of the ASME 2012 International Design Engineering Technical Conferences & Computers and Information in Engineering Conference
Place of Presentation
Chicago, Illinois, USA
Year and Date
20120812-20120815
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