2013 Fiscal Year Research-status Report
電磁浮遊液滴内乱流による材料のマイクロスケール構造形成の解明
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24760127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉岡 健一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80438233)
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Keywords | turbulence |
Research Abstract |
二元系及び三元系溶融合金を電磁浮遊法により浮遊させた液滴に静磁場を印加し、流れを抑制した場合や、溶融液滴を自由落下させるdrop tube法などの様々な無容器急速凝固法により凝固させた場合において、形成する微細組織が異なる(Cao et al., Scripta Materialia, 2003; Gao et al., J. Phys., Conf. Ser.144, 2009; Luo et al., J. Appl. Phys., 2009)ことが知られている。これらは材料が同じにもかかわらず、液滴内部の流動状態が全く異なるために引き起こされると考えられており、昨年度までの調査により、静磁場を印加し、流れを変化させると、凝固組織構造が変化することが明らかになった。そこで、静磁場印加電磁浮遊法を用いて、CuCo合金に対して周期加熱法により、試料内対流の流動状態の把握を行った。それにより、周期加熱と温度応答の位相差の静磁場依存性が、低磁場域と高磁場域において異なることが分かった。これは、流れが乱流から層流に遷移するためであると思われる。また、その遷移域が凝固組織構造の遷移域と一致した。そのことから、凝固組織構造が変化する要因として、液滴内部の流動、特に乱流-層流遷移の影響が大きいことが分かった。また、Phase Field法による導体流体中の導体液滴の挙動解析を行うシミュレーションコードの作成を行った。そのシミュレーションにより、静磁場印加時では、静磁場を印加しない場合と単一液滴の挙動が大きく異なり、揚力が強く働くことが分かった。そのため、相分離構造の主要因であると思われる衝突合体挙動が大きく変化するためであると思われる。今後、詳細を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Phase Field法のシミュレーションコードを開発し、静磁場下の導体液滴の挙動解析ができるようになった。 今後、構造形成に対しての解析を行い、構造形成のメカニズムを明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
直接数値シミュレーション結果の妥当性の検証およびシミュレーションコードの改良を行う。また、疑似乱流場でのPhase fieldシミュレーションコードの開発を行う。マイクロスケールの材料構造とその場での渦構造との相関を明らかにするため、層流条件ではせん断速度を、乱流条件では渦スケールおよび乱流強度を変化させ、流れの状態と材料構造との相関を明らかにし、モデル化を行う。 開発した数値シミュレーションコードを用い、液滴内流れの構造、平均速度分布、乱流強度、レイノルズ応力の分布等の乱流統計量から、電磁浮遊液滴内の乱流構造を明らかにする。加えて、操作条件(浮遊力(つまり流れの駆動力)、静磁場強度(つまり流れの静止力))を変えることにより、それらの乱流構造への影響を明らかにする。昨年度は、全体として順調であったが、開発コードは大規模なものとなった。そこで、本年度は、コード開発の完了および高速化も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は新形式の高速な計算機を購入した。そのため、プログラム高速化サービスの必要性が無くなったため、サービスの利用をやめた。そのため、予算に計上したものが次年度使用分となった。 シミュレーションコードが開発できた。今後計算を実施していくための計算データの保管用ストレージや、実験を行う際の金属試料、学会発表の旅費、論文投稿用の英文校正費用などが必要であり、それらに使用する。
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Research Products
(3 results)