2012 Fiscal Year Research-status Report
乱流抑制を高分子の伸張粘度の観点から解明する薄膜干渉流動画像法の開発
Project/Area Number |
24760129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
日出間 るり 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (20598172)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非ニュートン流 / 高分子 / 乱流抑制 |
Research Abstract |
本研究では高分子による乱流抑制には高分子の伸長に由来する伸長粘度が重要であると考え,それを証明するのが目的である.二次元格子乱流により乱流を可視化し画像解析する手法,薄膜干渉流動画像法(FIFI)を用いて乱流での高分子効果を観測・解析する.さらに溶液の伸長粘度を測定する装置,微小伸長粘度測定器(Micro-EVA)を開発する. 以上の目標に照らし,24年度は,以下の項目を達成した. (1)膜干渉流動画像法(FIFI)で高分子を添加した溶液の二次元格子乱流を観測した.高分子は柔らかく伸長歪みで急激に伸長するポリエチレンオキシド,堅く初めから伸長しており伸長流動場で配向するヒドロキシプロピルセルロース,柔らかいが伸長流動場で伸長しにくいポリアクリル酸を選び,分子量は10^6オーダーのものとした.高分子特性が二次元乱流の乱流抑制に変化を与える様子を可視化し,画像データをフーリエ変換,ウェーブレット変換,二次元乱流における速度分布に対応する分布を求めることにより定量化し,高分子と乱流抑制の関係について解析した.これらの結果から,乱流抑制は一様では無く,流れ方向,流れと垂直な方向で,高分子の種類により効果が異なることがわかった.これは乱流中のエネルギーの移動が,高分子により制限されるためだと考えられる. (2)高分子溶液の伸長粘度を実測できる装置Micro-EVAの開発に着手した.第一段階として,シリンジにガラス管を取り付けた簡便な急縮小流路を作成した。試料溶液で満たしたシリンジをシリンジポンプに設置し,溶液をガラス管に押し出す際の力をロードセルで測定した.急縮小流路で溶液にかかる伸長歪み速度を求め,伸長粘度測定に結びつける計算方法を考案した。2wt%程度の高分子溶液については伸長粘度を試算することができた.試算した伸長粘度は,高分子特性が表れており,妥当な値だと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画にしたことは,全て着手している.FIFIの実験に関しては,高分子の分子量を変える予定であったが,高分子特性を変えることにし,高分子の種類を増やした.Micro-EVAの装置開発にも着手し,試作としては良好な値が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,以下のような方針で研究を推進する. FIFIとMicro-EVAを用いて,測定の対象を広げ,系統的に観測データを得る. (1)FIFI装置の格子間隔や流速をコントロールし,二次元格子乱流にかけられる伸長歪み速度の範囲を広げ,高分子の乱流への効果がどう変化するかを調べる.また,二次元格子乱流の膜厚変化をPIVもしくはLDVで実測し,独自に開発した画像解析システムから得られる物理量の検証を行う. (2)Micro-EVAで得られる圧力損失を微差圧計で測定できるようにし,低粘度高分子溶液の伸長粘度測定を可能にする.高分子特性の異なる高分子を選び測定し,溶液に様々な伸長歪み速度をかけた際に観測される伸長粘度の値や,値の変化の仕方を調べ,伸長歪み速度と伸長粘度を関係づける.これによりMicro-EVAによる伸長粘度測定の有効性を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Micro-EVA改良のため,シリンジポンプ,微差圧センサ,微差圧センサ用アンプを購入する.これらに,485000円を計上する.また,Micro-EVA最適な縮小比の急縮小流路を作成するためのアクリル材,および,実験に用いる試薬に165000円を計上する.研究成果を報告し,他機関の研究者と情報交換するための学会費用として,250000円を計上する.
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