2013 Fiscal Year Research-status Report
汚水用一枚羽根遠心ポンプの複雑非定常内部流動と異物閉塞機構の解明
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24760130
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西 泰行 茨城大学, 工学部, 准教授 (50585122)
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Keywords | ターボ機械 / 汚水用ポンプ / 遠心羽根車 / 一枚羽根 / ポンプ性能 / 内部流れ / 変動流体力 / 異物通過性 |
Research Abstract |
エネルギー・環境問題や人口増加に伴う水・食料問題に付随して、下水や食品流体等の大小様々な固体が混入した固液混相流を高効率かつ安定的に移送できるターボポンプの開発は大きな課題である。本研究は、汚水用ポンプとして通過粒径(ポンプ内流路の最小粒径)を大きく形成した一枚羽根遠心ポンプの複雑非定常内部流動と、それに基づく損失生成機構及び変動流体力発生機構を統合的に明らかにし、高性能・高信頼性化を実現するための設計指針を確立することを目的としている。平成25年度に実施した研究成果は、以下の通りである。 1. 側板の有無が変動流体力に及ぼす影響の調査 昨年度に設計・製作した縮小モデル(羽根車外径110mm)用の実験装置を使用し、クローズド形及びオープン形羽根車の性能試験及び瞬時圧力計測を実施した。また、両羽根車の数値解析を行い、ポンプ性能及び圧力変動の実験結果と数値解析結果が良好に一致することを確認した。その上で、数値解析により両羽根車の半径方向スラスト及び軸方向スラストの挙動を把握した。さらに、オープン形羽根車の半径方向スラスト及び軸方向スラストの構成成分を新たにモデル化し、両羽根車の成分分析により半径方向スラスト及び軸方向スラストの構成成分に及ぼす側板の有無の影響を把握した。 2. 側板の有無が損失に及ぼす影響の調査 クローズド形及びオープン形羽根車の数値解析結果を用い、漏れ流れを考慮した損失解析を実施した。両羽根車の摩擦損失や混合損失等の水力損失、漏れ損失及び円板摩擦損失を定量的に評価し、各損失に及ぼす側板の有無の影響を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変動流体力発生機構の解明の研究では、内部流動との関係は明らかにできなかったが、オープン形羽根車の半径方向スラスト及び軸方向スラストの構成成分を新たにモデル化できた。これにより、オープン形羽根車と過去の研究によりモデル化したクローズド形羽根車の半径方向スラスト及び軸方向スラストの成分分析を行うことが可能になり、半径方向スラスト及び軸方向スラストに及ぼす側板の有無の影響を把握できた。 損失生成機構の解明の研究においても、内部流動との関係は明らかにできなかったが、漏れ流れを考慮した損失解析をクローズド形及びオープン形羽根車に対して初めて行うことができた。これにより、両羽根車の各損失を定量的に評価することができ、各損失に及ぼす側板の有無の影響を把握できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、縮小モデル用の実験装置を用いた研究を進展させ、クローズド形及びオープン形羽根車の内部流動のPIV(粒子画像流速測定法)計測を実施し、数値解析結果との比較検証を行う。その上で、両羽根車の変動流体力及び損失と内部流動との関係を詳細に検討し、変動流体力発生機構及び損失生成機構を解明する。 また、両羽根車の異物通過試験を実施し、異物通過性を定量的に評価するとともに、ポンプ内での異物の挙動を可視化し、異物閉塞機構を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機環境を充実させるため、平成25年度にタスク数の多い熱流体解析ソフトウェアを導入した。そのため、平成26年度のソフトウェアの年間保守費用を増額させる必要があったので、平成25年度の研究費の内、物品費を節約することで次年度使用額を捻出することとした。 本ポンプの数値解析を実施するために必要な、平成25年度に導入したソフトウェアの年間保守費用に使用する。
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Research Products
(3 results)