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2012 Fiscal Year Research-status Report

不純物を含む多相系における近接界面間相互作用に関する実験的解析

Research Project

Project/Area Number 24760140
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

小笠原 紀行  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00552184)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords流体工学 / 液膜 / 気泡 / 界面活性剤 / レーザー干渉計
Research Abstract

1,光干渉計を用いた液膜の膜厚分布計測システムの構築
気泡が固体壁に衝突する際に形成される固体壁面と気液界面間の薄い液膜を対象とし,その膜厚分布の動的な変化が計測可能となるレーザー干渉計を応用した計測システムを構築した.これにより,800マイクロメートル角程度の領域において,厚み方向に0.12マイクロメートル(隣り合う明暗線の位置での膜厚の相対値)の解像度で,時間変化する液膜の膜厚分布が得ることに成功した.特に,高速度カメラを併用した際には,最大5400ヘルツでのサンプリングが可能であり,液膜排水時のゆっくりとした膜厚変化のみならず,液膜破断時の非常に高速な膜厚変化も解析することが可能となった.
2,気泡と固体壁面の衝突時に形成される薄い液膜の解析
気泡と壁面の衝突を模擬する実験として,細管の先端に生成した気泡に対しその壁面への接近速度をマイクロメートル毎秒の精度で制御できる系を構築し,1の計測系を用いて固体壁面と接近する気液界面間に形成される液膜の計測を行った.なお,実験に際しては超純水と界面活性剤を用いることで水中に含まれる不純物の影響を検討した.気泡壁面間の液膜は中央部の窪んだディンプル形状となり,接近速度の増加に伴いその窪みがより深くなる傾向がみられた.また,接近速度が遅い場合の液膜形状は軸対称となるが,速い場合には軸対称の崩れた形状も観測され,薄膜化に際する排水流れに不安定が生じることが示唆された.一方,界面活性剤の影響として,液膜の破断(気相の固体壁面への付着)が抑制され,長時間安定した液膜が形成されることがわかった.さらに,液膜破断時の高速度計測結果から,破断は厚さが最も薄いディンプル形状の縁で生じることが確認された.固体壁にガラス壁面を用いた本実験においては,破断直後の固気液の接触点の移動速度が30ミリメートル毎秒程度であった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度である本年度の目的であった計測システムの構築及び薄い液膜の実験は,ほぼ計画通りに遂行することができた.特に,計画段階では適応可能性の確信のなかった高速度カメラを用いた計測が実現できたことは重要な成果であり,それにより液膜破断時の高速な現象中でも膜厚分布の計測が可能となった.
しかしながら,現システムの問題点として,レーザー使用に起因するノイズとしての干渉縞の存在や片方の界面が固体平面に限定されてしまうことがあるため,次年度にはそれらの課題にも対応し,本年度の目的に対しより多くの知見を得る必要がある.

Strategy for Future Research Activity

1,液膜の膜厚分布計測システムの改良
まず,現状のシステムの改善しノイズの少ない干渉画像の取得を目指す.そのために,レーザー光源に代わりコヒーレンスの低いLED光源の利用を計画している.また,本年度の計測手法では,液膜の相対的な厚み(界面形状)しか得られず,その絶対値については不明であった.従って,多色光源によるカラーの干渉縞画像から,膜厚の絶対値に関する情報の取得を目的とした解析手法の確立を目指す.さらに,気泡の衝突を模擬するような液膜の双方の界面が気液界面となる場合の実験を行う.以上の実験結果と潤滑理論による液膜の動力学の解析を行い,気泡間相互作用のモデリングに繋げる.
2,静止流体中の斜め平板下における気泡群の運動の高速度カメラによる計測
気泡運動が二次元面内において幾何学的に拘束される条件において形成される気泡クラスタの解析を目的とし,静止した水中において斜め平板下での気泡群の運動を対象とする実験装置を構築する.気泡発生には内径100マイクロメートルのステンレス細管を複数用いることで,径1ミリメートル程度の単分散の気泡径分布を有する球形の気泡群を導入する.気泡群の挙動は高速度カメラによって記録し,画像処理により個々の運動の解析を行う.これにより,気泡クラスタの生成過程の詳細を解析する.液膜の実験からの知見を気泡間相互作用のモデリングに活かし,複数気泡による群運動の安定的な構造として気泡クラスタが記述できるかを検討する.
以上により,気泡の合体・分裂や気泡クラスタの生成に関するメカニズムの解明を目指し,先に得られた界面間相互作用に関するメゾスケールの現象と気泡群の運動という巨視的な流動構造の決定との関連性を導く.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

主には,液膜の膜厚分布計測システムの改良及び静止流体中の斜め平板下における気泡群の実験装置の新設に関わる物品費が必要となる.また,計測に際する光学部品や汎用機器の購入も予定している.実験データの取得後に必要となる,データ処理用PC,ソフトウェア及び文献を購入する.
研究成果の公表のため,国際学会及び国内学会への参加を予定しており,その旅費及び参加登録費に本研究費を充てる.
年度末には,研究データ及び装置の保存のため,データ記録機器及び装置の保守に関わる物品の購入を予定している.

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 2012

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Laser interferometer measurement of a liquid film thickness distribution between bubble and solid surfaces2013

    • Author(s)
      Toshiyuki Ogasawara, Saori Shimoyama, Hiroyuki Takahira
    • Organizer
      8th International Conference on Multiphase Flow
    • Place of Presentation
      Jeju, Korea
    • Year and Date
      20130526-31
  • [Presentation] 気液界面と固体壁面間に形成される液膜の膜厚分布計測2012

    • Author(s)
      小笠原紀行,下山沙織,高比良裕之
    • Organizer
      日本機械学会流体工学部門講演会
    • Place of Presentation
      同志社大学 寒梅館
    • Year and Date
      20121117-20121118
  • [Presentation] レーザ干渉計を用いた気泡と固体壁面間に形成される液膜の膜厚分布計測2012

    • Author(s)
      下山沙織,小笠原紀行,高比良裕之
    • Organizer
      日本混相流学会年会講演会2012
    • Place of Presentation
      東京大学 柏キャンパス
    • Year and Date
      20120809-20120811

URL: 

Published: 2014-07-24  

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