2013 Fiscal Year Research-status Report
マイクロアイスジェット洗浄ノズルにおける氷生成率の制御
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24760153
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
周善寺 清隆 福岡県工業技術センター, 機械電子研究所, 研究員 (00416504)
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Keywords | 氷核生成 / 超音速流れ |
Research Abstract |
微小な過冷却水滴と氷粒子を噴射するマイクロアイスジェット洗浄はウェハに付着したサブミクロンの粒子状物質などのコンタミの洗浄に非常に有用である.一方,レジストなどの有機膜の剥離には不適で,氷生成率及び凍結率を向上させて現状の軟質な氷粒子を硬くすることが求められている.本年度は,昨年度実施した流れ解析により得られたノズル形状にもとづき,流路の拡径率が異なる長さ可変の3本のノズルを試作し,マイクロアイスジェットの主な作動条件である圧縮空気の供給圧力に対するノズル出口における粒子の直径と速度を評価した.圧縮空気の供給圧力は商用の中圧コンプレッサで利用可能な圧力である1.4MPa以下の範囲に設定した.また,粒子の直径と速度は,位相レーザドップラ分析計を用いてノズル出口下流10mmの流路断面の半径方向分布を取得した. 粒子測定の結果から,供給圧力によって粒子速度が最大となるノズル長さが異なることがわかった.圧縮空気の供給圧力が1.4MPaでは,ノズル出口中心での速度は長さ150~200mmにおいて最大値540m/sとなり,さらに長くなった場合には徐々に低下し,長さ300mmにおいて速度は500m/s以下となった.圧縮空気の供給圧力が0.6MPaにおいては,長さ100~150mmにおいて速度は最大値450m/sとなり,長さ200mm以上では速度は400m/s以下であった.圧縮空気の供給圧力を高くすることで,噴霧速度を大きくすることができることに加えて,噴霧速度が最大となるノズルの長さを伸長できることがわかった.本実験結果からノズルを伸長することで,水滴がノズルに滞在する時間を長くすることができ冷却時間が長くなるため,より大きな水滴を氷粒子に相変化させることができるようになることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,超音速ノズルを用いた圧縮空気の断熱膨張により,ノズル内において微小な水滴を冷却することで得られるマイクロアイスジェットに含まれる氷粒子の生成率及び凍結率を制御・向上させることを目的としている.平成25年度の計画は,平成24年度に実施した解析結果にもとづいた形状のノズルを試作し,噴霧速度を測定し,圧縮空気供給圧力とノズル長さに対する噴霧速度の相関について明らかにすることであった. 計画にもとづき研究を実施し,圧縮空気供給圧力を高くすることで,ノズル出口における噴霧速度を大きくすることができることに加えて,噴霧速度が最大となるノズルの長さを伸長できることがわかった.これにより,水滴のノズル内滞留時間が長くなり,より冷却されるために氷生成率および凍結率を向上させることできる.研究は当初の計画に沿って順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に試作したノズルを用いて,基板上の有機膜を除去することで,噴霧速度と氷生成率に対する有機膜剥離性能の相関を調べ,洗浄性能と最適なノズル形状と作動条件を明らかにする.具体的には,圧縮空気の供給圧力とノズル長さをパラメータとして剥離試験を実施する.評価試料である有機膜は,レジスト液をウェハ基板にコーティングし,乾燥炉で固化乾燥させて作成する.レジスト液の粘度により膜厚を調整し,厚みを20μm程度となるようにする.試験前後の膜の状態について,表面形状測定装置を用いて,除去深さ,除去面積を算出することで,性能を定量的に評価する.以上の研究を実施することにより,マイクロアイスジェットに含まれる氷粒子の生成率及び凍結率を制御・向上させる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定と異なり,旅費の執行と液体質量流量計の購入を行わなかったため繰越金が発生した. 繰越金および次年度に請求した研究費は,有機膜を作成するために必要な定温乾燥機を購入する費用,有機膜材料であるレジスト液や基板の材料であるSiウェハやアルミニウム板,ノズルへ純水を供給するためのフィルタ等を購入する費用に供する.
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