2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス由来気体液体燃料の柔軟な利用を可能とするエンジン制御アルゴリズムの構築
Project/Area Number |
24760157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 由大 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (60376514)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマス / エンジン / 燃料組成 / 制御 |
Research Abstract |
本研究は,液体,気体とも成分が安定しないバイオマス由来の燃料を対象に,デュアルフューエルエンジンシステムの構築を行うことを目的とする。これに対し,本年度はバイオマスガスの燃料組成が着火燃焼特性に与える影響を実験的に明らかにするとともに,組成変動の影響を考慮できるシミュレーションモデルの構築を行った。 具体的には実験では,デュアルフューエルエンジンの運転指針に関する知見を得ることを目的に,ジャーク式燃料噴射ポンプを持つ汎用ディーゼルエンジンを用いてバイオマスガスの組成やパイロット軽油噴射量が燃焼,機関性能,排気特性に与える影響を調査し,さらに,低負荷での燃焼改善のために,排気再循環(EGR)を適用し,その有効性を検証した。シミュレーションモデル構築の目的は,ガス燃料組成が様々となることから,将来的に制御系構築において実験回数を低減することや,制御理論の応用を容易にすることである。今年度は,都市ガス利用を想定したデュアルフューエルエンジンのモデルとして提案されている燃焼モデルを元に,素反応数値計算によって構築した層流燃焼速度のデータベースを利用する形でエンジンモデルを構築した。 実験より,ガス燃料予混合気の当量比を高めることで,ガス組成,軽油噴射量によらず,高効率な運転を実現できること,上死点付近の温度,圧力条件場において層流燃焼速度で一定値以上を確保していることが高効率安定運転の必要で条件であることを見出した。また,水素割合の少ない組成では,EGRによって熱発生が過度に遅角化するため,EGRによる熱効率,サイクル変動の改善効果が小さいことが明らかになった。一方,構築したエンジンモデルはバイオマスガスと軽油混焼時の筒内圧力履歴を再現することができ,エンジンに投入された軽油およびガス燃料の熱量割合やガス燃料中の水素割合が熱効率に与える影響を定性的に再現可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験データの取得,計算モデル構築のそれぞれの基本的な点については,当初の目的を達成できているものと思う。ただし,計算においては,エンジン性能を再現できるような燃焼モデルの構築を先に行ったことから,反応レベルでの実験データの解釈や,素反応数値計算結果を制御則構築へ利用する手法の検討がやや不十分であると感じている。また,実験においては,液体燃料の噴射時期,噴射量を任意に設定できるように,電子制御式燃料噴射システムの導入につては,必要な機器,部品,改造について検討はしているが,実際の改造までは行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
電子制御式燃料噴射システムの導入を行い,H24年度と同様にガス組成および液体燃料噴射量を変化させ,さらに噴射時期もパラメーターとして追加し燃焼実験を行う。H24年度の実験および電子制御式噴射系導入後の実験結果を整理し,着火遅れ,燃焼期間から適切な気体燃料および液体燃料の利用条件を求めることができるようなアルゴリズムを検討する。さらに,リアルタイムな燃焼のセンシング手法としては,まずは筒内圧力を利用することが適当と考えているが,制御ループの適当な時定数などを考慮して信号の処理方法について検討する必要がある。制御アルゴリズムの構築を補助する形で,液体燃料も考慮した素反応数値計算を行う予定である。また,エンジンモデル構築においては,現在のところガス燃料の水素成分変動の影響を考慮できるまでとなっており,他の成分の影響も考慮できるように改善してく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電子制御式燃焼噴射システムの導入に約200万円,素反応数値計算を行う市販コードのライセンス料として約30万円程度,その他消耗品(試験用燃料等)約20万円の利用を考えている。
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Research Products
(1 results)