2012 Fiscal Year Research-status Report
随伴解析に基づいたマイクロ熱プロセスの最適制御に関する研究
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24760158
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 賢一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90435777)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 最適制御 / 熱プロセス / 随伴解析 |
Research Abstract |
近年,さまざまな熱プロセスを内在したマイクロデバイスの開発が盛んになり,熱管理技術の高度化に対する期待が高まっている.例えば,半導体パルスレーザーにおいては,多層薄膜の屈折率の温度依存性(1)や光共振器の熱膨張に起因したレーザー波長のドリフトを低減するため,パルス発振に伴う熱散逸による急激な温度変動を抑制することが重要である.しかし,従来の冷却技術では,熱容量が大きいために時間応答性が不十分なため,例えば1 μsオーダーの半導体素子の熱時定数に対応できない.一方,著者らは,高時間応答性を有した温度制御としてヒーター加熱によるフィード・フォワード制御手法を開発し,その有効性を理論的および実験的に実証してきた. 平成24年度には, 既に開発済みの1次元随伴熱伝導解析を拡張し,円筒座標系における2次元最適熱制御スキームを構築した.レーザー出射方向が基板面と垂直となる面発光レーザー(VCSEL) を制御対象とし,素子上面のリング状ヒーターによる活性層内温度分布のパルス時間内均一化制御を試みた.特に,制御用ヒーターの加熱位置の影響を調べ,さらに詳細な知見を得ることを目的とした.本最適制御スキームを適用することにより,面発光レーザーモデルの活性層内温度変動を顕著に抑制できることを示し,ヒーター加熱位置による制御効果の違いを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,理論的・数値解析的アプローチにより随伴解析に基づいた熱プロセスの最適制御手法を構築すること,およびMEMS 技術を用いたテストベンチにおいて,本制御の有効性を実験的に検証することを目的とする.特に,マイクロデバイスにおける熱プロセスにおいて,時空間的な温度分布制御を実現し,定常で空間的に一様な従来型の熱管理技術の高度化を図ることを主眼としている. 平成24年度には,半導体基板と垂直に出射する面発光レーザー(VCSEL)を対象とした円筒座標系における2次元最適熱制御スキームを構築し,多次元熱伝導問題における本制御手法の有効性を明らかにした.平成25年度に予定しているマイクロ熱プロセスの最適制御手法の開発に向けて,重要なステップをクリアしており,おおむね順調に進展しているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに構築してきた数値解析手法およびMEMS技術を用いた実験技術をさらに発展させ,平成25年度の研究計画を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本制御手法の有効性を実験的に評価するためのMEMS技術を用いたテストベンチ製作に必要となる経費,実験装置の購入費として使用する.また,国内学会・国際会議での成果発表や海外の関連研究者との研究交流のための旅費として使用する.
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Research Products
(3 results)