2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760159
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
植村 豪 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70515163)
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Keywords | CO2地中隔離 / ナノスケール / 多孔質内二相流 / X線CT |
Research Abstract |
前年度までの研究では,帯水層を模擬した珪砂多孔質モデルにナノスケールCO2を圧入した結果,ミクロスケールの液滴まで成長した後,安定して保持されることを示した.本年度は浸透過程に着目し,マイクロフォーカスX線CTを用いた多孔質内ナノスケールCO2の浸透現象を可視化すると共に,多孔質モデルの両端に微差圧計を設置し,圧入時の圧力損失も計測した. 実験の結果,ナノスケールCO2が多孔質モデルを浸透する際,広範囲にわたって一様に浸透している様子が捉えられ,さらに圧入に伴って圧力損失が増加したことから,ナノスケールCO2と水の混合物は,水単体よりも見かけの粘性が高いことが分かった.非混和二相系の場合は,高粘性流体は多孔質内で一様に浸透することから,本実験でも類似した流れ場を呈したと考えられる. 一方,実際の帯水層内では,ナノスケールCO2は液滴の粒径が徐々に増加しながら浸透し,流動を阻害することも予想される.しかし長大な多孔質モデルの製作は困難であるため,多孔質内でナノスケールCO2がミクロスケールまで成長した後,ナノスケールCO2を再圧入することで長時間経過後の状態を模擬し,多孔質内部の浸透過程を観察した.圧入初期段階では高い圧力損失が生じており,ミクロスケールのCO2液滴の存在によってナノスケールCO2の浸透経路が制限されたと考えられるが,その後,圧力損失は徐々に低下し,一定値に収束する傾向が見られた.X線CTで可視化したところ,ナノスケールCO2の注入に伴って多孔体内のミクロスケールのCO2液滴が減少する様子が観察された. したがって,多孔質モデル内のミクロスケールのCO2液滴は浮力に対して安定にトラップされる一方,ナノスケールCO2の圧入に伴って移流が生じるため,帯水層内でのナノスケールCO2のの浸透は妨げられないと考えられる.
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