2013 Fiscal Year Annual Research Report
重ね合わせ原理に基づく複雑乱流スカラー場の現象解明
Project/Area Number |
24760164
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
保浦 知也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00324484)
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Keywords | 熱工学 / 乱流 / 熱物質輸送 / 風洞実験 / 濃度変動計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,はく離・再付着を伴う複雑な強制対流乱流場を,スカラー場の重ね合わせに着目して実験的に明らかにすることである。そのために,温度場や濃度場などのスカラー場が,速度場に対して受動的とみなせる強制対流場を風洞実験によりシミュレーションし,重ね合わせの原理に立脚して素過程を明らかにした。 最終年度には,以下の研究を進めた。まず,温度勾配がある流れ場における流体温度測定時の熱伝導誤差の大きさを明らかにし,その補正方法を確立した。次に,応答速度の異なる定電流型熱線流速計を測定データから応答補償する方法を検証し,汎用性の高い多点同時測定法を開発した。また,濃度変動をより正確に測定するために,高速応答FID(水素炎イオン化検出器)の応答特性を改善し,熱線流速計と組み合わせることで,速度と濃度変動の同時計測システムを構築した。これら測定技術の改良により,さらに信頼性の高い実験データを得られるようになった。 研究期間全体を通じて次のような実験を継続し,次のような知見が得られた。まず,はく離・再付着を伴う複雑乱流場として乱流境界層内に設置されたビル模型周りの物質拡散過程を詳細に調べた。具体的には,物質が上流から点源供給された場合に観察されるビル模型後方の後流による物質輸送現象から特徴的な濃度分布の発現機構を明らかにした。さらに,受動スカラーの重ね合わせ原理に立脚して現象を解明することを目的として,加熱平板上を発達する乱流温度境界層において,流れ方向に熱的境界条件を急峻に変化させた場合,乱流熱輸送を支配する乱流熱流束が,加熱条件が一様である場合と比較して,どのような特性を持つのかを実験的に調べ,各象限別寄与率や確率密度分布を明らかにした。その結果,異なる境界条件から生じる個々の現象の重ね合わせにより複雑な乱流場が説明できることが実験的に明らかとなった。
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Research Products
(7 results)