2013 Fiscal Year Research-status Report
単分散噴霧火炎構造の重ね合わせによる噴霧燃焼解析手法の開発
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24760165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 潤 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70550151)
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Keywords | 噴霧燃焼 / すす生成 / 粒径分布 / 二次元レーザー誘起赤熱法 |
Research Abstract |
平成25年度は,よどみ面付近に安定した噴霧火炎を形成することが可能な層流対向流場における実験および数値解析を行った.実験では,平成25年度までに開発を行い,層流対向流場における有用性を確認した改良型振動オリフィス式噴射弁を用いて,燃料流量や空気流量などから独立して噴霧特性が制御された燃料噴霧による噴霧火炎を形成することで,平均油滴径の増大に伴ってすす生成領域が増大し,平均油滴径が大きな噴霧火炎中では,局所的なすす生成の抑制を伴うすす生成領域が形成されることを明らかにした.また,3次元直接数値解析を実験と同様の層流対向流場に対して実施することで,平均油滴径が100マイクロメートル程度の噴霧火炎では,燃料噴霧の粒径分布の幅が広い条件においてすす生成領域が減少することを明らかにした.上記内容は,平成25年度の結果と合わせて,国際会議で講演を行うとともに論文として発表を行った.また,噴霧火炎構造に与える酸化剤成分の相違による影響を明らかにすることを目的として,酸素・二酸化炭素雰囲気(Oxy-Fuel条件)において形成される噴霧火炎と,通常の燃焼場と同様の酸素・窒素雰囲気において形成される噴霧火炎の比較を行うことで,Oxy-Fuel条件においては,同様の噴霧特性を持つ燃料噴霧であっても形成される噴霧火炎構造が異なり,Oxy-Fuel条件では,燃焼場の温度低下に起因してすす生成領域が減少する傾向が示された.また,本実験の際には,火炎構造の観察として超作動距離レンズを用いた高速度拡大計測の検証を行い,その有用性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,振動オリフィス式噴射弁を改良することで,噴霧燃焼および噴霧火炎中のすす生成過程に対して影響を与える燃料流量および空気流量の条件を一定に保ったまま,様々な粒径分布を持つ燃料噴霧の生成が可能となった.噴霧火炎構造の詳細な観察および二次元レーザー誘起赤熱法の適用が可能な層流対向流場において,当該噴射弁を用いた噴霧燃焼実験を行うことで,平均油滴径が100マイクロメートル程度の噴霧において,多分散噴霧の場合には同程度の平均油滴径を持つ準単分散噴霧と比較して,局所的な燃料蒸気濃度が濃い領域が減少すると共にすす生成領域が減少することが明らかとなった.また,本傾向は3次元直接数値解析によって得られる,同様の噴霧燃焼場における温度分布の傾向から得られる考察と一致しており,今後の噴霧火炎特性の重ねあわせによる噴霧火炎構造の解析の検証データとなり得るため.これらの,実験および数値解析から得られた結果に基づいて,単分散噴霧によって形成される噴霧火炎構造の重ね合わせによって,多分散噴霧火炎によって形成される噴霧火炎構造を解析するための検討を進めることが可能となる.一方で,噴霧火炎構造を詳細に観察するためのレーザーを用いた高速度計測に関して,高繰り返しレーザーの選定は終了し,すす計測に足るパルスエネルギーの獲得が困難であると判断を下し,繰り返し周波数が低いまま高速度計測と同等の結果を得ることが可能な計測法の検討を進めている状況にあるため,概ね順調とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の実験および数値解析結果を受けて,「噴霧特性の重ね合わせによる噴霧火炎構造の解析手法」の検討を進める.平成26年度には,平成24年度,平成25年度に行った実験および数値解析による研究で得られた結果を検証データとして利用することで噴霧特性の重ね合わせによる噴霧火炎構造の解析を行う.特に,単分散噴霧によって形成される噴霧火炎構造と多分散噴霧によって形成される噴霧火炎構造の比較・検討を通して,噴霧特性によって得られる噴霧火炎構造のうち,特に噴霧火炎によって形成される温度場,および噴霧火炎中のすす生成特性に注目して検討を行うことが可能な解析手法の確立が目標となる.また,平成25年度の研究進捗により,酸化剤雰囲気が噴霧火炎に与える影響に対する実験結果を得ていることから,同一場に対する直接数値解析を行うことで上記解析手法の他条件への展開の可能性の検証を行う. 平成24年度,平成25年度と行ってきた,高速度レーザー誘起赤熱法および高速度干渉画像法による噴霧特性および火炎中のすす生成特性に対する計測法の検討から,レーザーの発振周波数が低い条件において,燃料油滴からすすに至るまでの過程を明らかにする計測手法の確立を行う.具体的には,燃料液滴,多環芳香族炭化水素,すすの3段階の同時計測を行うことで,高速度レーザー誘起赤熱法および高速度干渉画像法に匹敵する解析が行える計測手法の検討を行う.なお,本手法は,平成25年度に石炭を微細化した燃料(微粉炭燃料)の混相燃焼場に対して適用の可能性を示しており,噴霧火炎に対しても同様に適用が可能であると考えられる.最後に,平成25年度のまでの成果の発表とともに,本研究課題の成果をまとめて発表を行う.
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Research Products
(1 results)