2012 Fiscal Year Research-status Report
窒素酸化物の選択的・不均一再循環を用いた天然ガス予混合圧縮着火燃焼の促進
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24760172
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
河崎 澄 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (90346099)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 予混合圧縮着火機関 / 天然ガス / 燃焼 / 窒素酸化物 |
Research Abstract |
本研究の目的は,天然ガス予混合圧縮着火エンジンの排気に含まれる窒素酸化物NOxを燃焼室に再循環することにより,NOxがもつ燃焼促進作用を活用して,当該エンジンの燃焼制御性を改善することである. 平成24年度は,燃焼室内に局所的なNOx高濃度部を形成することにより,少量のNOxから高い燃焼促進効果を得ることを目的として,急速圧縮膨張装置を用いた燃焼実験を行った.本実験では,希薄予混合気の吸気行程中に,NOxを含む模擬EGRガスを燃焼室に直接導入するとともに,その導入時期を調節することにより,筒内におけるNOx濃度の不均一度を変化させた.指圧線図解析の結果より,模擬EGRガスの導入時期を遅くして,NOxと予混合気の混合を抑制することにより,筒内平均濃度50ppm程度のNOxから,燃焼促進効果が得られることを確認した. さらに,NOx導入時期を遅くすることにより着火が促進されたメカニズムを明らかにするために,火炎の直接光およびOHラジカル自発光の高速度可視化観察を行った.直接光の撮影には高速度カメラを,OHラジカルの自発光撮影には画像増強装置およびCCDカメラをそれぞれ使用した.直接光の撮影結果より,高い熱発生率を示したNOx導入時期の最も遅い条件においては,高輝度の火炎発光が,燃焼室のNOx導入口側に偏在していることが明らかとなった.さらに,着火に同期して現れるOHラジカル自発光の観察結果からも,着火領域が燃焼室のNOx導入口側に偏在していることが確認された. 以上の指圧線図解析および可視化結果から,希薄予混合気内にNOxを不均一に分布させれば,局所的なNOx高濃度部の着火が促進されるために,均一に分布させる場合よりも少量で高い燃焼促進効果を得られることが明らかとなった.上記内容を,第50回燃焼シンポジウム(2012年12月 名古屋)において口頭発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目的は,少量のNOxから燃焼促進効果を得る方法を実験的に示し,そのメカニズムを燃焼可視化観察によって明らかにすることであった.研究実績の概要で述べたように,ほぼ研究計画どおりに実験を進めることができた.また,当初期待していたように,NOxを不均一に分布させると,均一に分布させるより場合よりも,少量で高い燃焼促進効果が得られることを実験的に示すことができた. 以上のことから,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究により,天然ガス予混合圧縮着火エンジンの燃焼室内に,局所的なNOx高濃度部を形成できれば,圧縮自着火を促進できることが示された.しかし,予混合圧縮着火エンジンの最大の利点の一つは,希薄燃焼によって排気中のNOx濃度が低いことである.したがって,前年度に示した燃焼促進手法を実現するためには,排気中のNOx濃度を濃縮により高めた上で,燃焼室に再循環する方法を確立する必要がある. そこで,平成25年度の研究目標は,燃焼室内に局所的なNOx高濃度部を形成することによる燃焼促進手法を実現するために,排気中に含まれる低濃度のNOxを,NOx吸蔵触媒を用いて濃縮し,それを燃焼室に再循環する方法を実証することである.具体的には,NOx吸蔵触媒触媒上にNOxを硝酸塩の形で吸着させた後,それを排ガス浄化装置のように高温の量論排気にさらすことでN2まで還元するのではなく,弱い還元雰囲気にさらすことでNO2として燃料ガス中に放出する方法を検討する. 本年度の実験は温度・流量制御が可能な,小型の反応管を試作して行い,NOx吸蔵触媒上の硝酸塩をNO2に還元することのできる,弱い還元雰囲気条件を探索する.なお,申請時の計画では,触媒のNOx吸着・放出量の評価には,熱重量測定法を用いる予定であったが,触媒出ガス組成の定性・定量評価を同時に行うために,化学発光式窒素酸化物濃度計を利用するように計画を変更した.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)