2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760175
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯島 晃良 日本大学, 理工学部, 助教 (50434121)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自着火 / 予混合 / 希薄燃焼 / 可視化 / 分光測定 / 異常燃焼 |
Research Abstract |
平成24年度は,交付申請書に記載した当該年度の研究目的に従い,連続急速圧縮燃焼装置を用いた超希薄予混合気の自着火燃焼実験を行った. 具体的には,以下の実験的研究を行った. <具体的研究内容> (1) 当量比を変化させた際の自着火燃焼火炎の発現形態観察 (2) 吸気温度を変化させた際の自着火燃焼火炎の発現形態観察 (3) 自着火炎発現と筒内発光挙動との関係 (4) 急激な燃焼及び失火発生時の燃焼可視化 <研究手法> 以下の手法で,高圧場における自着火反応特性を詳細に調べた.(1) 高速度カメラを用いた燃焼火炎挙動の高速度撮影 (2) 分光測定装置を用いた燃焼室内ガスの発光強度解析 (3) 反応数値計算による解析 <得られた主たる結論とその意義> (1) 当量比と吸気温度の変化によって,燃焼室内での自着火燃焼の局所的な発現状況が変化する.それに伴って,燃焼の激しさが変化する事が明らかになった.(2) 筒内で,自着火に伴い青色の火炎が観測されると同時に,火炎発光強度の増大が確認される.つまり,発光分光計測の結果と可視化結果が良く対応することを確認した.(3) 当量比や吸気温度の増加により,より急激な自着火燃焼が発生する.また,条件によっては燃焼室内に強い圧力波が発生し,燃焼室内を高速で往復する異常燃焼現象が生ずることを明確にした. 以上の結果は,実用燃焼器での異常燃焼抑制設計に有用な知見になると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書において,平成24年度の研究実施計画として掲げたのは以下の点である. 連続急速圧縮燃焼装置を用いて高圧場における超希薄予混合気の自着火燃焼実験を行い,以下の項目を調査する.(1) 当量比を変化させた際の自着火燃焼火炎の発現形態観察 (2) 自着火炎発現と筒内発光スペクトル,吸収スペクトルの関係 (3) 急激な燃焼及び失火発生時の燃焼観察 ここで,(1) については,当量比に加えて吸気温度を変化させた際の燃焼可視化と分光測定を行い,緩慢な自着火燃焼と急激な自着火燃焼とでは筒内火炎の局所的な分散度合いが大きく異なることを明白にした.さらに,筒内の未燃部で急速な自着火が起こることによって,筒内圧力振動を伴う異常な燃焼が生ずることと,それによってもたらされる圧力振動の挙動等を定量化することができた.この点に関しては,想定していた結果に加え,さらに掘り下げた新たな研究内容を見出すことができたことから,当初の計画以上の進展と言える. (2) については,主に発光計測を行い,火炎発現挙動と発光挙動の同時計測データを取得した.吸収測定については,優先順位が低いと判断し,十分な実験をしていない.次年度は,自着火前の挙動を含めて,詳しい解析を実施予定である.その際は,吸収測定が必要と考えている. (3) については,特に急激な燃焼発生時の燃焼観測において十分なデータを取得することができた.失火状況では,十分な火炎輝度が得られず,高速度カメラで火炎を捉えるのが困難であることが明らかになった.これについては,今後の課題である.シャドーグラフ法またはシュリーレン法による高速度撮影によって,失火時の燃焼挙動を捉えられると考えている. 以上を踏まえ,項目によっては計画以上に進展しているが,総合的には,おおむね順調に研究が進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究は,主として自着火後の燃焼状態を詳しく解析する事を主目的としており,また,上述の通り,おおむね目標を達成することが出来た.加えて,圧力振動を伴う異常燃焼現象など,当初の想定よりもさらに進んだ内容の研究項目を見出すにいたった.平成25年度は,当初計画していた通り,前年度までの結果を元にフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いたガス分析により,燃焼室内の中間生成物の生成及び消費挙動を分析する.分光測定データとガス分析結果を比較し,さらに反応動力学数値解析によって素反応レベルでの現象解釈を行うことで,超希薄予混合気の自着火燃焼プロセスを解明する. 高圧・希薄予混合自着火燃焼を連続的に実施しつつ,初期温度,吸気量,燃料量などを変化させることで最高到達温度を任意に変化させ,各条件での排ガス成分をFTIRで分析する.それにより,各最高温度毎にどのような化学種が生成されているかを解析する.この方法で,各反応が進行する様子を明らかにすることが出来る.加えて,筒内の発光や吸光の分光測定を同時に実施することで,筒内高速分析データとの対応を明らかにする.さらに,反応動力学数値解析によって,素反応レベルでの反応挙動を解析し,FTIR分析データとの比較検証を行う.これにより,高圧・超希薄予混合気の自着火燃焼機構を素反応レベルで明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用予定の研究費は,平成24年度の研究課題において引き続き検討する必要がある,自着火の可視化実験用として,可視化や分光測定用の石英製観測窓の調達に充てる計画である.平成25年度に請求する研究費は,機器備品として圧力測定器を購入予定である.その他,石英観測窓,燃料,装置消耗部品等に加え,化学反応数値解析ソフトウェアのライセンス料,学会での成果発表,調査費用等に使用する計画である.
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Research Products
(3 results)