2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760176
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
大嶋 元啓 福井工業大学, 工学部, 講師 (40511803)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 燃焼 / 微粒子 / 噴霧 |
Research Abstract |
本申請はSiO2微粒子をTiO2で修飾した微粒子(以下,TiO2/SiO2ナノ微粒子)の生成を目的とし,生成条件と微粒子の物理的特性との関係を明らかにすることである.研究実績の概要を以下に示す. (1)微粒子生成装置の改造 現有装置をTiO2/SiO2ナノ微粒子生成用の装置に改造した.改造はチャンバ内に噴射弁を新設し,微粒子の捕集効率を増加させるために捕集部を石英フィルタによるものとした.また,制御系にはインジェクタコントローラを新規購入し,2種類の噴射弁を相互制御できるようにした.相互制御条件は大きく分けて3条件設定する事ができる. (2) TiO2/SiO2ナノ微粒子生成条件と物理的制御性 TiO2ナノ微粒子用原料にテトライソプロポキシチタンとし,これに最適な低沸点有機溶剤として相互溶解特性よりシクロヘキサンを選定した. SiO2ナノ微粒子用原料にはテトラエトキシシランとn-ペンタンの混合溶液をもちいて,TiO2およびSiO2の単体ナノ微粒子を生成し走査型電子顕微鏡,X線回折装置(XRD)により微粒子生成条件と微粒子特性との関係を明らかにした.その結果,当量比の変化により燃焼温度が変化するため,ナノ微粒子の組成と粒径が大きく変化することがわかった.この結果は微粒子生成メカニズムの解明のための大きな重要性を持ち,効率的に組成制御された微粒子を生成することができると考えられる. (3) TiO2/SiO2ナノ微粒子の物理的特性制御 改造した装置を用いて(2)で確認した条件下においてTiO2/SiO2ナノ微粒子の生成を試みた.SiO2ナノ微粒子のTiO2被膜について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目的はTiO2/SiO2ナノ微粒子生成装置を改造し,微粒子生成条件と物理特性の関係を明らかにすることである.これまでの進捗状況を以下に示す. (1)微粒子生成装置の改造 TiO2/SiO2ナノ微粒子生成のために配管内に噴射弁を2か所設置できるように改造した.また,噴射弁を同時に制御するためにインジェクタテスタを購入し,これらが相互に制御できる様改造した.捕集装置には石英製フィルタを新設し捕集効率の向上を目指した.このように,微粒子生成装置の改造を完了している. (2)TiO2/SiO2ナノ微粒子生成条件の確認 TiO2微粒子生成用原料としてテトライソポキシチタンを用いて,低沸点有機溶剤を相互溶解,蒸発特性の観点よりシクロヘキサンを選定した.この混合溶液を用いて当量比などの微粒子生成条件と物理特性との関係を確認した.この結果を踏まえ微粒子の生成メカニズムについても考察した.また,テトラエトキシシラン・n-ペンタン混合溶液を用いて,微粒子生成条件について調べた.以上より,ナノ微粒子生成条件の確認はほぼ完了している. (3)TiO2/SiO2ナノ微粒子の物理的特性制御 TiO2/SiO2ナノ微粒子の生成を試みた.その結果,完全に被覆された微粒子の生成を得ることができなかった.これは微粒子生成の際の反応温度が異なる事より被覆した微粒子が生成されなかったためであると考えられ,相互の微粒子生成の際に相平衡を考慮すべきであると考えており,噴射方式,噴射弁の組み合わせ,火炎形状の最適化などを現在,検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の進捗を踏まえ,平成25年度はTiO2/SiO2ナノ微粒子の生成と自己組織化機能により基板上へ堆積することを目的としている.また,この結果からナノ微粒子に微粒子が表面装飾されるプロセスの解明を試みる.具体的な研究計画を以下に示す. (1) TiO2/SiO2ナノ微粒子の生成条件の把握 完全に被覆された微粒子の生成には微粒子生成温度,相平衡が重要であると考えられる.これらの生成条件を考慮して前年度の結果を基に完全に被覆された微粒子であるTiO2/SiO2ナノ微粒子を生成する.また,TiO2/SiO2ナノ微粒子の物理的制御性について明らかにする. (2)自己組織化堆積用に装置を改造 平成24年度で使用した装置を改造する.自己組織化により堆積させるために装置上部にウエハ保持機構とヒータを設置する.保持できるウエハのサイズは2インチを予定している.なお,ヒータの設定最高温度はSiO2およびTiO2薄膜単体でも成膜可能な温度域のものを用いる. (3) TiO2/SiO2ナノ微粒子を基板上に自己組織化により堆積させTiO2/SiO2ナノ微粒子生成メカニズムの解明を試みる ナノ微粒子は粒径の大きさにより表面の活性度が比例する.そのため,噴射条件および微粒子生成条件が自己組織化へ及ぼす影響を明らかにする必要がある.特に噴射条件はTiO2被膜,粒径および自己組織化に大きく影響を及ぼすと考えられ,この条件を最適化する.これまでの研究成果を基に解析コードを用いて,TiO2/SiO2ナノ微粒子が生成されるまでのプロセスの解明を試みる.化学反応モデルにはまず論文で公開されている成膜原料の化学反応機構を使用し,ナノ微粒子表面に微粒子が装飾されるメカニズムの解明を試みる.そして実験条件と同条件にて計算を実行し計算結果と実験結果の比較からフィードバックする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は引き続き完全に被覆された微粒子であるTiO2/SiO2ナノ微粒子の生成を行う.また,自己組織化機能により基板上へ堆積することを目的としている.また,この結果からナノ微粒子に微粒子が表面装飾されるプロセスの解明を試みる.次年度の研究費の使用計画の詳細を述べる. 微粒子生成のためのテトライソプロポキシチタン/シクロヘキサン溶液,テトラエトキシシラン/n-ペンタン混合溶液と火炎生成のための酸素ボンベ,メタンボンベを購入し引き続き微粒子を生成する. 自己組織化堆積用に装置構成を改造する.生成微粒子のウエハへの堆積にはウエハ用ホルダの新設を行う.ウエハ用ホルダは流路と垂直方向にウエハを保持するタイプとし,容易にウエハの交換ができる形状のものとする.使用ウエハは2インチウエハとしウエハ用ヒータは脱着可能な形状のものとする.自己組織化によりTiO2/SiO2ナノ微粒子が堆積したウエハはSEMおよびXRD,AFMなどを用いて物理的特性,化学的特性を明らかにする.AFMは申請者が所属している大学は所持していないため,AFMを所持している白川善幸氏(同志社大学教授)にご協力いただき使用させていただく.そのために,SEM,AFMのサンプル作成用にサンプル作成費,旅費が必要になる.得られた研究結果は電子デバイス関連の学会に投稿し発表する. ナノ微粒子生成メカニズムの解明にはこれまでの実験結果より生成メカニズムの概要を解明し,論文で公開されている反応機構をもとに汎用熱流体解析ソフトであるFORTEを用いてモデリング解析を試みる.また,微粒子を使用した薄膜形成に関する研究について情報収集を行うために,微粒子関連,薄膜関連の研究会に出席する.そのため,旅費が必要になる.
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