2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元飛行システムの部分的アクチュエータ故障に対するフェイルセーフ構築
Project/Area Number |
24760182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関口 和真 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80593558)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 制御工学 / 劣駆動 / 非線形システム解析 / 非線形システム制御 |
Research Abstract |
本年度の研究実績として以下の成果を得た。 (1) 角運動量に支配される宇宙空間飛行システム 1つのリアクションホイールしか持たないスペースクラフトに対し、可制御性を解析した。その結果、初期角運動量、リアクションホイールの回転軸、慣性主軸が一致する場合を除き不可制御になるシチュエーションが存在しないことを明らかにした。1ロータしか持たないスペースクラフトの場合、可制御な状態であっても初期角運動量が存在するため、平衡姿勢が存在しないことが示される。そこで、可制御な領域において可能な運動として、スペースクラフトに取り付けられたアンテナを目標の方向へ周期的に向ける姿勢制御問題を設定した。この制御問題に対し、部分線形化に基づく制御則を構築し、入力変換の特異姿勢をまたがない範囲での周期的な姿勢制御が実現できることを数値シミュレーションで示した。また、2つのリアクションホイールのみで姿勢を制御する問題に対して、初期角運動量とリアクションホイールの配置によって実現できる姿勢の自由度が変化することを明らかにし、それぞれに場合について実現できる姿勢の中で自由に姿勢を作る制御器を構成した。 (2) 重力場に支配される地上飛行システム 1つのプロペラのみを入力として持つ地上を飛行するシステムを対象とし、実現可能な動作について解析した。その結果、特異な機体構造を仮定しない限り、システムは平衡点を持たない、つまりいかなる入力を用いても飛行体において最も基本的な動作の一つであるホバリングができないということを明らかにした。実現できる運動として,周期的に高さと向きを止める運動を考案し、擬似ホバリングと名付けると共に実現する制御器を導出した。導出した制御器の有効性は実験を通して検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角運動量に支配される宇宙空間飛行システム、重力場に支配される地上飛行システムそれぞれに対して、研究計画で挙げていた通り、1入力しかないシステムを考え、運動を制御できないシチュエーションを示すと共に、可能な運動を明らかにし、実現する制御器を考案した。さらに、宇宙空間飛行システムについては当初の予定よりも早く2入力のものに着手できている。1入力スペースクラフトシステムについての研究をまとめた発表はまだ出来ていないが,研究計画に対して順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に引き続き宇宙空間飛行システム、地上飛行システムと置かれている環境で分けて飛行システムを研究していく。 1.角運動量保存則に支配される宇宙空間飛行システム フライホイールを2つ搭載している機体において、フライホイールの配置と可能な姿勢制御の範囲をより詳細に検討すると共に、姿勢制御にとってどのようなフライホイールの配置がふさわしいのかを明らかにし、姿勢制御のための制御器を設計していく。さらに、姿勢制御の結果を受け、入力としてスラスターとフライホイールの組み合わせを取り入れることで位置姿勢を含めた可制御性を考察していく。これによって衛星などの宇宙空間を飛行する実際のシステムにおけるアクチュエータ故障に対応した表現が可能となり、フェイルセーフに適したアクチュエータ配置などを議論していく予定である。 2.重力場に支配される地上飛行システム 1入力システムに対する結果を受け2入力、3入力システムにおいてどのような動きが実現可能か、またそれらの動きを生成するための制御器を設計していく。入力としてジェットエンジンのような直線的な推進力のみを発生するものと、プロペラのように1自由度の入力によって推進力と反トルクという2つの効果を同時に得られるものが考えられるが、2入力以上の場合この組み合わせも非常に重要な要素になると考えられるので、入力の組み合わせについても研究をすすめる。さらに一歩踏み込み、フェイルセーフという観点から従来システムを見直しフェイルセーフ構築の可能性を議論すると共に、従来システムにとらわれない新しい入力配置を持ったシステムの実現性について議論できないか模索していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は効率的に研究費を使用できたため、平成25年度予算として残すことができた。 平成25年度は研究環境が大きく変わったため、新しい環境で研究を推進するための設備を整備する予算として使用する予定である。また、昨年度得られた成果をまとめて国際会議で発表する予定であり、外部に向けて成果を発信するためにも研究費を使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)