2012 Fiscal Year Research-status Report
長周期地震に対応した振動台のモデル化と加速度波形の再現性向上を目指した制御系設計
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24760187
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
関 健太 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432292)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 機械力学 / 計測制御 |
Research Abstract |
本研究は、長周期地震動を再現する振動台に焦点を当てた、振動台の地震加速度波形再現性能を劣化させる要因の分析とそのモデル化、および波形再現性能向上を目指した制御系設計論を学理に即して構築し、加振設備及びその制御技術の新たな展開を切り開くことを目的としている。 平成24年度は、既存の振動台実験設備の改良を行うとともに、主に下記2項目について取り組んだ。 (1)油圧加振機における非線形要素の抑制と振動抑制手法を確立する。 長周期地震対応振動台では、油圧加振機のピストンを動作範囲が長くなるため、シリンダ体積が大きくなる。それにより、油の量を制御するサーボ弁において入出力関係が非線形となる、あるいは剛性低下により共振周波数が低下して、十分な制御帯域を確保することができなくなる。これらの問題に対し、実際の加振装置あるいは基礎実験装置を用いて現象の解明と分析を行い、これらの現象を再現する数学モデル、数値解析シミュレータを構築した。シミュレータを用いて、2自由度制御系をベースとして、圧力・加速度センサフィードバック制御を基軸とした振動抑制、非線形特性を抑圧する基本制御系を設計し、シミュレーションによりその検証を行った。 (2)複数アクチュエータを併用した際の動作干渉抑制制御手法を確立 複数アクチュエータを併用した際の動作干渉を抑制するために、その前段階として数値シミュレータの構築を行った。そこでは、制御系設計ソフトと機構解析ソフトを連成することで、実現象を再現可能なモデルを構築することができた。さらに、そのシミュレータを用いて動作干渉を抑制するための補償信号を生成し、その補償効果を2次元3自由度振動台のプロトタイプ機を用いて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、長周期地震動を再現する振動台に焦点を当てた、振動台の地震加速度波形再現性能を劣化させる要因の分析とそのモデル化、および波形再現性能向上を目指した制御系設計論を学理に即して構築し、加振設備及びその制御技術の新たな展開を切り開くことを目的としており、具体的に(1)長周期地震対応振動台での制御系設計上の課題(非線形要素と共振振動)の明確化とそれを表現する数式モデルと数値シミュレータの構築、(2)非線形要素の抑圧及び振動抑制を実現するセンサフィードバックやオブザーバ方式を基軸としたロバスト制御系の確立、(3)複数のアクチュエータを併用した際の動作干渉モデルの構築と干渉抑制を考慮した制御系の構築、(4)機構/制御系CADを援用した高精度振動台シミュレータの構築と加振時の動作干渉・外乱補償法構築への展開、の各項目の実現を目的としている。 平成24年度は、その中で(1)(2)に関して、油圧加振機における非線形要素の抑制と振動抑制手法を確立するための基本的な数値シミュレータを構築して制御系の検討を行っている。そこでは、2自由度制御系をベースとして、圧力・加速度センサフィードバック制御を基軸とした振動抑制、非線形特性を抑圧する基本制御系を設計し、シミュレーションによりその検証を行っており、平成24年度に構築した実験設備を用いて有効性の検証を行うのみとしている。(3)(4)に関して、制御系設計ソフトと機構解析ソフトを連成することで、実現象を再現可能なモデルを構築することができた。さらに、そのシミュレータを用いて動作干渉を抑制するための補償信号を生成し、その補償効果を2次元3自由度振動台のプロトタイプ機を用いて検証しいるため、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、平成24年度で構築・評価した数値シミュレータや制御系を実際の実験装置に実装してその有効性を検証する。特に、実験時にはパラメータ変動やモデル化誤差が発生することが予想されるため、それらの変動を考慮したロバスト制御系あるいは適応制御系を構築し、シミュレーションと実験によりその有効性を検証する。一方で、平成24年度では、複数のアクチュエータで構成される多軸振動台システムのモデル化を制御系設計ソフトと機構解析ソフトを連成させることで構築した。しかしながら、そこでは試験対象物を剛体として取り扱っていたため、試験対象物を柔軟体として取り扱う必要がある場合にはシミュレーションの再現性能が劣化する。そこで、構造解析ソフトと連成させることで、試験対象物の弾性変形(共振振動)による反力の影響も模擬可能とする。これら、制御/機構/構造解析ソフトウェアを援用した振動台モデルにより、振動台の動作、および加振軸と重心のずれによって発生する回転モーメント、試験対象物からの反力を忠実に再現する数値解析モデルを構築する。そして、構築したモデルを基にして動作干渉や回転モーメント、試験対象物からの反力などを同時に補償するための補償方式を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、実験で利用するための各種センサとその信号増幅器を購入予定である。 さらに、研究内容に関する調査・打合せや成果発表のための旅費、発表のための費用に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)