2014 Fiscal Year Research-status Report
車両の軽量化と高齢者の運転の相互作用ダイナミクスを利用した走行安定化技術の構築
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24760188
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中川 智皓 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70582336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パーソナルモビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会にける緊急の課題の一つとして,交通弱者のための歩行の代替となりうる移動手段の開発がある.足腰の衰えから長距離を歩くことが負担また困難な高齢者向けに,シニアカーなど歩行を補う移動手段が開発されている.シニアカーは,自動車に比べコンパクトで軽量であり,その手軽さから近年使用者が増えている.一方,シニアカーの増加に伴い,段差や傾斜での転倒,操作ミスなどの事故が増えている.シニアカーの他にも,パーソナルな移動手段として,電動三輪スクータ,電動アシスト自転車,電動車椅子が市販されている.電動ではない移動手段では,フレーム形状を工夫した自転車や軽量車椅子などが挙げられる.また,新しいモビリティとしては,倒立振子型車両が研究されている.これは平行に2つの車輪を有し,制御によって安定性を保持する乗り物である.操縦者は,重心移動によって車両を自由に操ることができる.このように,移動の負担を低減させるモビリティビークルは,持ち運びや省スペース性の観点から,近年軽量小型化されることが望まれている.しかしながら,車両が軽量になると,車両は人の重量と同程度となり,人との相互作用が無視できなくなる.安全性や安定性を確保するためには,人の影響を考慮した軽量車両のダイナミクスを把握し,それを考慮した車体設計,制御系を構築することが重要である.よって,本研究では車両の軽量化と人間の操縦についての相互作用を統合的に評価し,車両の走行安定化技術を構築することを目的とする. 当該年度においては,特に,4輪型立ち乗り式車両において取っ手を持った場合の人間の姿勢安定性について把握した.また,人間モデルについては,基礎検討である一般成人に加え,高齢者の場合についても検討した.さらに,4輪型立ち乗り式車両の加減速時の安定性に関するシミュレーション結果に基づいた車両諸元を用いた実機を試作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,軽量車両を取り扱い,乗車する人間の影響を考慮することが重要な点である.当該年度においては,特に,4輪型立ち乗り式車両において取っ手を持った場合の人間の姿勢安定性について把握した.また,人間モデルについては,基礎検討である一般成人に加え,高齢者の場合についても検討した.さらに,4輪型立ち乗り式車両の加減速時の安定性に関するシミュレーション結果に基づいた車両諸元を用いた実機を試作した.よって,これは車体設計の一指針となったといえ,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策は,大きく分けて以下の2点である. 1.数値シミュレーション これまで軽量車体として倒立振子型車両と4輪型立ち乗り式車両に着目した.取っ手がある場合とない場合の影響を数値シミュレーションによって把握した.人間モデルについては,基礎検討として一般成人,また高齢者の場合について検討した.今後,これらの結果を体系的にまとめる. 2.実験 4輪型立ち乗り式車両の加減速時の安定性に関するシミュレーション結果に基づいた車両諸元を用いた実機を試作した.よって,本試作車両を用いた実験を行い,安定性を評価する.
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Causes of Carryover |
出張経費,英文校閲費が当初予定よりも減ったため,残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用の車両治具,センサ,電子部品一式を計上する.成果発表また打ち合わせのための出張経費,英文校閲費を計上する.各費目が全体の研究経費の90%を超えることはない.
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