2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760194
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嵯峨 智 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (10451535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 触覚ディスプレイ / 錯触覚 / 感覚齟齬 |
Research Abstract |
我々は,視覚などマルチモーダルな情報を利用可能な触覚インタフェースにおいて,錯触覚を積極的に利用しながら,触覚における質感を提供するために要求される触覚デバイスを研究している.本年度は我々が提案する2.5次元触覚提示手法において,定量的にバーチャルな高さを提示するため,被験者を用いた心理物理実験を行った.この実験結果から,提示する形状の空間周波数に応じた提示力を制御する必要があることが明らかになった.そこで,心理物理実験から推定された空間周波数と提示力の関係式に基づき,提示力制御のためのパラメータを導出し,Wavelet変換による実時間空間周波数解析に基づいた空間周波数の同定とあわせて利用することで,提示力調整を行うアルゴリズムを提案し,これをタブレットPC上に実装した. その後,さらなる性能向上を目指し,剪断力による提示手法の利用可能性を拡張し,テクスチャなどの細かな触覚情報を再現可能なディスプレイを開発した.テクスチャ情報の取得のため,加速度センサなどにより高周波振動情報を記録し,得られた振動を操作時の指の速度により再生する手法を提案した.さらに振動方向を制御することによるテクスチャ感の違いを心理物理実験により明らかにした.この結果より,多くのテクスチャでは指の移動に対し陪法線方向の振動が,紙やすりなどのテクスチャでは接線方向の振動が適切であることが明らかになった.この結果に基づき振動方向制御を実装し,より実物に近い触感を提示可能であることを被験者を用いた心理物理実験により明らかにした.そして,2.5次元触覚提示手法とあわせて利用することにより,形状情報とテクスチャ情報を同時に提示可能な触覚ディスプレイを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は,触覚による質感伝達を実現することを目指し,錯触覚を利用しつつ他の感覚情報と齟齬を生じにくい触覚ディスプレイを開発している.本年度は剪断力を利用した錯触覚ディスプレイにおいて,凹凸を表現する手法をより定量的に評価し,デプスマップなどがあれば形状情報を提示可能な提示手法の確立を目指した.また,タッチスクリーンと組み合わせることで,視覚情報と統合可能な視触覚提示デバイスによる質感提示を実現するプロトタイプの開発を目指した.凹凸表現の定量的評価については,被験者を用いた心理物理実験を実施し,提示すべき空間周波数に応じて提示力を制御する必要性があることを明らかにした.心理物理実験から推定された空間周波数と提示力の関係式に基づき,提示力制御のためのパラメータを導出し,Wavelet変換による実時間空間周波数解析に基づいた空間周波数の同定とあわせて利用することで,提示力調整を行うアルゴリズムを提案し,これをタブレットPC上に実装することで,視触覚情報を同時に提示可能なディスプレイプロトタイプを開発した.視触覚情報を同時提示した際の心理物理実験はPHANToMを利用する予定であったが,動作が2次元に限定されるものの振動特性がよりよいデバイスを利用するため,先述のプロトタイプによる実験を実施した.本年度はさらに歩をすすめ,剪断力による提示手法の利用可能性を拡張し,テクスチャなどの細かな触覚情報を再現可能なディスプレイを開発した.テクスチャ情報の取得のため,加速度センサなどにより高周波振動情報を記録し,得られた振動を操作時の指の速度により再生する手法を提案した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,申請書に記載のとおり,これまでに得られた知見に基づき,いくつかの新たな錯触覚提示デバイスを試作する.そして,知見との比較を心理物理実験的に確認しつつ,錯触覚提示においてより感覚間の齟齬が生じない錯触覚レンダリング手法の詳細について実装をしながら検討をすすめることとする.また,同時に新たに得られた知見の詳細な錯触覚における網羅的な調査を行うため,3次元的な表現が可能な力覚ディスプレイPHANToMを用いての感覚齟齬についての詳細な心理物理実験を行い,デバイスの設計論としての完成度を上げる. これまでの研究により,我々が提案する剪断力を利用した触覚ディスプレイおよびテクスチャ情報の記録再生手法を利用することで,形状情報のみならず,テクスチャ情報の表現も可能になった.そこで,これらテクスチャ情報の振動方向制御など,より詳細な実験を行うことにより,振動方向がテクスチャ知覚に与える影響について明らかにし,他感覚との齟齬が生じない形での2次元的な実装を試みる.さらに,実装されたデバイスとPHANToMを利用した実験を通じ,デバイスの制約および可能性について明らかにする.そして,錯触覚を利用しながら,他感覚との齟齬を生じない錯触覚提示デバイスの設計指針を作ることを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)