2012 Fiscal Year Research-status Report
形状・剛性の自律適応機能を有する触覚応答型柔軟被覆材料の研究開発
Project/Area Number |
24760201
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鈴木 陽介 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (20582331)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ソフトメカニクス / 圧力センサ |
Research Abstract |
本研究課題は,ロボットハンド指先部等に表面実装でき,その形状と剛性を接触物体に合わせて自律的に変化させる機能を有するゴム被覆材を研究開発する.本被覆材の特徴は,物体との接触点近傍において応力に応じた収縮力を発生する自律機構を感圧導電性ゴム内部に導入することで,接触領域外縁が隆起して物体との接触面積を増大させるとともに,応力集中部ほどゴム密度が高まり剛性が強化されるようにする点である.すなわち,接触物体の形状や剛性になじむような変形が,外部制御装置なしで実現できる.これは既存の様々な機械システムに追加実装し,把持安定性やグリップ性能の向上に利用できると期待される.平成24年度の研究では,目的とする被覆材を構成する要素として収縮性アクチュエータの探索と選定,および適切な検出特性を有する圧力中心位置検出センサ(CoPセンサ)の開発を主目的とした.前者については人工筋肉として用いられるバイオメタル等の材料を調査し,実際に出力可能な収縮力や構成方法の実験・検討を行った結果,目的のセンサ回路の形に構成した際の接続方法にさらなる検討が必要であることがわかった.一方,後者についてはロボットハンド指先のような曲面を覆うように圧力中心位置検出センサする際の固定方法と検出特性について,実際にセンサを構成して実験を行った.この結果,接着剤を用いた簡単な構成方法が可能であることと,小さな曲率半径(15mm程度)の曲面上にセンサを構成しても適切に圧力中心位置が検出可能であることが確認された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の現時点の達成度は,研究開始当初の目標に対してやや遅れている.提案する被覆材を構成する上で重要となる収縮性アクチュエータについて,そのセンサ回路内での接続方法と接点信頼性を保つ方法が適切に実現できるものの選定に時間を要していることが主な要因である.一方で,アクチュエータの統合先となる圧力中心位置検出センサの被覆手順に関する知見は,同センサを応用した他の研究課題による成果も含めて多く得られており,すでに本研究課題の目標実装先であるロボットハンドのような曲率面に対しても問題なく実装可能となっている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究計画としては,平成24年度終了時点で遅れが生じている収縮性アクチュエータの安定的な実装方法の確立を第一に行う必要がある.開発する被覆材の構成方法について困難性が見つかった点を再検討し,センサ回路との接続性が良好なアクチュエータを新たに選定しなおす.また必要に応じて圧力中心位置検出センサの回路構成に変更を加えることも検討する.これは選定したアクチュエータの駆動電圧もしくは電流が現在の圧力センサの出力に比して小さすぎる場合等にアンプにて出力信号を増幅する必要が生じることや,アクチュエータが十分な柔軟性を有していない場合等に従来の圧力中心位置検出センサの動作を阻害しないような部品構成が必要と予想されるためである.以上の課題を解決し,被覆材が実現できたら,基礎特性実験と並行してロボットハンド指先パーツへの実装テストを実行する.実装テストには三菱重工製汎用ロボットPA10とハーモニックドライブシステムズ製ロボットハンドを用い,その指先部には提案機構を実装できるよう新規設計したパーツを作成する必要があるが,これは本研究室の設備で処理可能なタスクである.両実験により得られた研究成果を纏め,学会等にて発表を行う.さらに時間的に可能であれば,本被覆材の適用する対象を圧力中心位置検出センサ以外にも広げることを検討する.特に本研究課題と並行して研究を進めているネット状近接覚センサは構造も実装条件も圧力中心位置検出センサと類似しているため,これに本被覆材を応用することを試みたいと考えている.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|