2012 Fiscal Year Research-status Report
誘導性身体動揺の数理モデリングと身体挙動制御への応用
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24760206
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
今村 孝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10422809)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非侵襲生体計測 / 計測工学 / 感性情報学 / 知能機械 / 制御工学 |
Research Abstract |
基礎フェーズと位置づけた平成24年度の実績としては,立位制御モデルの構築およびそのパラメータ抽出手法について,1)ローレンツプロット解析におけるパラメータ抽出,2)時系列モデリングの適用を行った. 1)としては,従来,心拍数の変動から心理状態を解析する手法として,「ローレンツプロット解析」が用いられてきた.本研究では,この手法において,これまで提案されている解析パラメータ以外の定量的な評価値や評価手法を明らかにし,実験結果にもとづくパラメータの感度解析によって,被験者の身体挙動および心理状態を詳細に説明することを目的とするパラメータ評価手法の構築を試みた.そのために従来研究からの継続として,3カ月間を実施期間とした長期被験者実験を2名の被験者に対して実施した.これにより被験者実験結果を得るとともに,その解析を進めた. 2)では,これまでに簡易な数学モデルで構築してきた被験者の立位制御モデルについて,挙動表現におけるリアルタイム性および精度向上を目的に,時系列(ARMAX)モデルを導入し,その精度検証を進めた.その結果,次数12のARMAXモデルによって,被験者の挙動表現に十分な立位挙動モデルを構築できることを確認した. 1),2)の結果については,平成24年10月に開催された国際会議にて学会発表を行うとともに,論文投稿の準備を進めている.また2年度目に実施する,立位制御モデルを用いた外部刺激による身体挙動制御の応用検討にむけて,新たな視覚刺激提示装置として,ドームスクリーンを用いた視覚刺激提示装置を設計し,11月に導入を完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた基礎フェーズのうち,新たな被験者実験結果を加えた解析として,パラメータ抽出と時系列モデルの構築を実現できている. パラメータ抽出については,被験者挙動や特性と整合する物理的な意味づけが完全に実施できていないが,今後解析を進めることで明確化できるものと考えている. また本研究で対象とする現象の実応用を検証するための実験機材についても,予定通り納入が完了し,機器の立上げを進めている. 以上のことから当初計画の80%程度は達成できており,またその成果も順調に創出できていることから,上記の達成度とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の未達成項目を早期に補うとともに,得られた成果の実社会応用にむけた研究・技術開発を進めていく. 特に定量化が可能となった各現象・挙動・数値パラメータについて,対象の挙動や心理状態など多面的な解釈を進めて,実応用に適用可能な形態に集約していく予定である. 併せて,更なる被験者実験を進め,現象や提案手法の再現性・解析精度を高めるとともに,対象とする現象・挙動の情報・データベースの構築を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主に,以下の研究費使用計画を想定している. 物品費としては,前年度構築した実験装置の実働時の補足機材・消耗品の導入,旅費としては研究成果発表のための国際学会出席,人件費としてはさらなる被験者実験の実施に伴う謝金,その他としては前年度成果の学術論文投稿費用への充当をそれぞれ予定している.
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