2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体回路を用いた空気圧アクチュエータ制御による自律ロボット駆動系の開発
Project/Area Number |
24760207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川合 健太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90514464)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | MEMS / 流体回路 / ニューマチック / ロボティクス |
Research Abstract |
ロボット産業は少子高齢化による労働力の減少や作業負荷の増大への対応するため、サービス分野を始めとした新たな分野へと発展していくことが見込まれ、現在主流となっている製造分野だけでなく人にとって身近なサービス分野に領域を拡げると予測されている。このようなサービス分野へ用いられる次世代型ロボットの特徴として、人の身近で働いても安全であること、軽量・小型・高トルクであること、耐久性が高いこと、自然な挙動に近いことが挙げられる。現在ロボットに駆動力を与えるアクチュエータとしては主に電気モータ、油圧、空気圧の3種類が用いられているが、このうち空気圧駆動は従来の人型・動物型ロボットで多用されてきた電気モータに比べて重量に対する比出力に優れ、軽く、力強いロボットが実現できる。また、アクチュエータに伸縮性があるので動作異常時のロックがなく、フェイルセーフ性も高い。さらに部品が安価で交換・保守のメンテナンスも容易など、次世代型ロボットとして求められるロボットの駆動系として最適である。空気圧アクチュエータを制御するためのマイクロ流体回路用素子として、スライドバルブを用いたノーマリークローズマイクロバルブ素子と、方向制御弁とバネ機構を組み合わせることで空気圧アクチュエータへの圧力を制御する機構を持つレギュレータ素子を開発した。これにより、ノーマリーオープン型のマイクロバルブと比べて小型で低消費電力な方向制御を実現することができ、小型のロボットや小さなスペースにも空気圧制御素子を搭載できる。素子の作製には構造体を形成した樹脂を多層に積層する必要があるが、表面処理と加圧・加熱処理を組み合わせることで印加圧力に耐えうるマイクロ流体回路を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では平成24年度は「減圧弁機能を実現するマイクロ流体素子の開発」、「ノーマリークローズマイクロバルブ素子の開発」、「マイクロ流体回路デバイス作製のための樹脂構造体の多層接合法の確立」を実現すべきコア技術として掲げ、多層からなるマイクロ流体回路の設計とMEMS微細加工技術を用いてこれらを実現した。このことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の目標としては「マイクロ流体回路デバイスの構築」、「マイクロ流体回路制御システムの構築」、「小型ロボットの作製とデモンストレーション」を挙げており、マイクロ流体回路デバイスについては平成24年度に実現したコア技術を要素として設計・作製を進めている。マイクロ流体回路制御システムについてはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いた組み込みプログラミングを行い、空気圧アクチュエータの動作を制御する予定である。小型ロボットに関しては3Dプリンタ等を用いて骨格・外装を作製した後、アクチュエータとしてマッキベン型ラバーマッスルを取り付け、デモンストレーションを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費は、消耗品としてマイクロ流体回路を作製するための各種部材、制御システムを構築するための電子部品を購入する。設備備品としては3Dプリンタ、FPGA、プログラミング機器を購入する。研究成果を広く公表するため、国内学会、国際学会への参加費と、論文の投稿料を計上している。
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Research Products
(3 results)