2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760211
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 岳史 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (20397045)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ロボティクス |
Research Abstract |
SCV-Iでは内部機構とクローラベルトに問題点があった.内部機構には段差を登るために姿勢を変形する機構が無かったため,先端プーリの半径以上の段差を登る事ができなかった.また原理試作として小型に設計したため,センサ等を実装するスペースが少なかった.そこでSCV-Iで得た知見を基にSCV-IIの試作を行った.SCV-IIの仕様は,全長670mm,全幅560mm,全高210mm,重量約9.5kgとなった.改良によって内部機構に機体の屈曲機構を追加したため先端プーリを持ち上げて階段の段差に対応できるようになった.また制御システムを実装するための十分な内部スペースを確保することができた. クローラベルトの改良として,これまで一体型の筒状の形状であった物を,着脱性を考慮して2分割とし,内部機構の左右から装着する構造とした.これにより収縮率の最適化が図れるとともに,着脱性を向上させることができた.さらにクローラベルトが変形した際の駆動力の伝達性を向上させるために折紙理論を導入した.クローラベルトは収縮するために複数の折線が必要であり,製作するためには複数の折線からなる形状を設計する必要がある.生地を折線で折ると折線に垂直な2点間の距離を短縮する事ができるが,折線自体の長さは変わらない.そこで折線を的確に配置する事により折線に沿って駆動力を効率良く伝達し,かつ十分な伸縮性が確保できると考え,円錐殻構造を導入して解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたSCV-IIの内部機構の製作はほぼ完了し,クローラベルトは試作と折紙理論の検討まで完了する事ができた. SCV-Iを改良版として設計を進めたSCV-IIは,SCV-Iの問題点を抽出するところから研究を始め,内部機構を構成する屈曲機構を含む機構の検討,新たなアクチュエータの追加と選定,機構設計と実機の試作までを行った.その過程で新しい小型サーボモータの導入を行うために機能追加のための設計を行い,出力軸を含む小型サーボモータの試作を行った.その結果として小型で高出力のアクチュエータを導入する事ができた. クローラベルトの開発として改良モデルの製作と,導入する折紙理論の検討を行った.改良モデルは着脱性を考慮して2分割とし,内部機構の左右から装着する構造とした.これにより収縮率の最適化が図るとともに,着脱性を向上させることができた.また折紙理論の導入は折線の的確な配置によって折線に沿って駆動力を効率良く伝達し,かつ十分な伸縮性が確保するために行った.クローラベルトを2分割すると形状は円錐となり,展開図は扇形となる.そこで高さ方向へ伸縮性がある円錐殻構造に着目し検討を行い,解析によって製作可能な展開図に必要なパラメータの範囲を求めた.今回は円錐殻構造を導入したクローラベルトの試作まではできなかったが,試作に必要な知見を得るところまで研究を進める事ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
SCVはクローラ型移動車両としてはモノトラックの形状を取るため,不整地走行に関してはスタックしないというメリットがある.しかし同時に中央部にクローラベルトがあるためにセンサ類は機体の左右両端のドームカバー内に設置する必要がある.そのため,前後の死角を最小とするためのセンサの選定と配置方法の検討と実装を行う.ドームカバー自体は中央プーリと締結してあるため回転してしまうが軸は回転しないので,外界センサとして測域センサと魚眼レンズを備えた小型カメラを左右両側の軸端に配置する.併せてSCVの移動特性に合ったセンサ類の配置についても検証し,実証実験より評価を行う. SCVは実機を用いた動作実験の結果より,ほぼ理論値通りに旋回軌道を生成して旋回することができているが,わずかに滑りが発生してしまっている事が判明している.今後,SCVを災害現場で使用する事を考えると自己位置推定と地図生成は必要な機能であり,そのためのシステムを構築する必要がある.そこでSCVにSLAMを導入し,左右両端のカメラと測域センサから検出したデータをもとに自己位置推定を行う.同形状の移動体自体が無いため,SCVにおいて実用に必要な精度での自己位置推定が実現できれば,それは意義のある結果であると考える.期間内にSLAMの実装と,実際に運用した際の評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては,以下の使用を考えている. ①SCV-IIの内部機構の完成(試作部品代:約10万円),②折紙理論を導入したクローラベルトの試作(試作代:約30万円),③センサ類の購入と実装(センサ類の購入:40万円,実装基板の開発:20万円),④その他.
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