2012 Fiscal Year Research-status Report
電気自動車の充電スタンドを導入したSOFC分散電源システムに関する検討
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24760224
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 正志 茨城大学, 工学部, 助教 (40583985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | SOFC / EV充電スタンド / 電力需要 / 給湯需要 / 一次エネルギー削減率 |
Research Abstract |
当該年度は茨城大学日立キャンパス学生食堂の厨房内にある分電盤に遠隔計測監視システムおよび給湯器ガス配管にガス流量計を設置して,学生食堂の電力・給湯需要の測定を開始した。なお,ガス流量計の電源とデータ収集には直流24V電源およびパルスカウンタが必要であったが,既製品を利用せず研究室で直流24V電源およびパルス測定装置を自作し,研究費を有効に使えるような工夫もした。 一方,SOFC発電システム性能解析プログラムの開発も行った。プログラムが完成しても電気自動車(EV)の充電スタンドを考慮したSOFC分散電源システムの検討を行えるほど学生食堂の電力・給湯需要の測定データ量がなかったので,代わりに研究室にある集合住宅の一年間分の電力・給湯需要データを利用して集合住宅へEV充電スタンドを考慮したSOFC分散電源システムを適用した場合のEV充電量および一次エネルギー削減率を試算した。その結果,一次エネルギー削減率は最高で40%以上となり且つ十分なEV充電量も確保できる見込みが明らかとなった。つまり,EV充電スタンドを考慮したSOFC発電システムはSOFCによるコジェネレーションとEV充電というエネルギー利用形態に一致する新たなエネルギーシステムとなることを明らかにできた。なお,この結果を纏めた論文はIEEEのPOWERTECH2013という国際会議に受理されている。 以上より,開発したプログラムが一次エネルギー削減量及びEV充電量の検討に利用できることを確認でき,さらに年度末にはある程度の学生食堂の電力・給湯需要データが揃ってきたので,EV充電スタンドを考慮したSOFC発電システムを学生食堂に適用した場合のEV充電量および一次エネルギー削減率の計算を行った。その結果は2013年8月末に開催される電気学会電力・エネルギー部門大会で発表するように論文執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
支払い請求書様式D-4にも記載したとおり,当該年度のテーマは(1)電力・給湯需要の測定,(2)SOFC発電システム性能解析プログラムの開発,(3)電気自動車の充電可能量試および一次エネルギー削減量の試算の3テーマが達成すべき目的であった。 (1)に関しては,本助成を利用して学生食堂の分電盤に遠隔計測監視システム,給湯器に繋がるガス管にガス流量計を取り付け,電力・給湯需要の測定が順調に行えている。したがって,このテーマについては達成度は100%である。 (2)に関しては,またSOFC発電システム性能解析プログラムを完成させることができたので,達成度は100%である。 (3)に関しては,開発したプログラムを利用して,まずは研究室で以前に利用していた集合住宅の電力・給湯需要を利用して電気自動車の充電可能量や一次エネルギー削減率の試算を行い,電気学会新エネルギー環境研究会(FTE-13-15)やIEEEのPOWERTECH2013(A5905TT)で成果発表することになった。これは当初予定していなかったので計画以外の成果も上げることができたといえる。また年度末には学生食堂の電力・給湯需要について一定量のデータもそろってきたので,当初の予定通り,そのデータを利用して電気自動車の充電可能量や一次エネルギー削減率の試算を行った。その結果は平成25年度に開催される電気学会電力エネルギー部門大会で発表される。以上より当初の計画+それ以外の成果も上げることができたので,,このテーマの達成度は100%以上である。 したがって,全体として該当年度の目的の達成度は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
学生食堂の電力・給湯需要の測定が開始し,順調に測定データの収集が行えているので,本年度もそれを続けて一年分の需要データを集める。 昨年度の測定結果を考慮すると学生食堂のエネルギーは電気に較べて熱が比較的多いのでそれに合うシステム構成として,新たに計画に無かったヒートポンプ給湯器も加えたEV充電スタンド・SOFC ・ヒートポンプ給湯器・貯湯槽の統合システムに検討対象を修正する予定である。そして,前年度開発したプログラムをお用いてその統合システムから供給できる電力・給湯量と測定して得られた学生食堂の電力・給湯需要と比較することで一次エネルギー削減率およびEV充電量を試算し,たとえば,(1)電力・給湯需要の季節的な変動,(2)長期休暇などによる利用者の増減,により学生食堂の電力・給湯需要は変化するはずであるので,年間を通して一次エネルギー削減率およびEV充電量がどのように変化するのかを検討し,今回提案するEV充電スタンド・SOFC ・ヒートポンプ給湯器・貯湯槽の統合システムの適用可能性について検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度のうちに測定装置などの物品購入は終えたので,本年度は成果発表のために必要となる出張費や学会参加費に研究費を利用する予定である。具体的にはすでに論文提出を終えて出張が決まっているIEEEのPOWERTECH2013あるいは電気学会電力エネルギー部門大会用の出張費および参加費に利用する予定がある。残りは,9月に開催予定の電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会およびSOFC研究発表会などで成果発表を行う予定なので,その出張費に研究費を利用する予定である。
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