2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノポーラスコンポジット絶縁材料による電力機器の高性能化に関する研究
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24760229
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗本 宗明 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70580546)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノポーラスコンポジット / 絶縁材料 / 低誘電率 / 電力機器の小型化 |
Research Abstract |
現在,太陽電池や風力発電などの再生可能エネルギーの電力網への導入が進んでおり,コンパクトかつ高信頼な電力機器の実現のためには,電界分布の最適化を容易にする低誘電率な電気絶縁材料がますます重要になっている.本研究では,電力機器にナノポーラスコンポジット絶縁材料を適用することを目指し,その低誘電メカニズムと電気絶縁特性を,誘電スペクトルと絶縁破壊強度を測定することから解明することに取り組んでいる. まず,電力機器で多用されるアルミナ材料を用いたメソポーラスアルミナ粒子を,エポキシ樹脂に充填したナノポーラスコンポジットを作製し,その試料の比重を測定することにより,粒子空孔率を求めた.その結果,メソポーラスアルミナ粒子はエポキシ樹脂に充填された状態でも,比誘電率が小さい空孔を27~34vol%内在していることがわかった. 次に,ナノポーラスコンポジットの交流インピーダンスを,改良した浮遊容量低減電極を用いて測定することにより,誘電特性を調査した.このとき,従来材料である多孔質でないアルミナ粒子を同量充填したエポキシコンポジット(ノンポーラスコンポジット)と比較を行った.その結果,ナノポーラスコンポジットの60Hz 比誘電率測定値は,ノンポーラスコンポジットの比誘電率より低いことが明らかになった. さらに,ナノポーラスコンポジットの耐電圧特性として,構築したMcKeown電極系を用いて測定することにより,絶縁破壊の強さを調査した.その結果,ナノポーラスコンポジットの破壊の強さは,ノンポーラスコンポジットの破壊の強さと同等であることが明らかになった.このことから,ナノポーラスコンポジット内部の空孔は直流絶縁破壊の強さの欠陥とならない可能性を示す事ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で立案した研究項目5項目の内,3項目を達成していることに加え,本研究課題に関する成果を,査読付き学術論文1件と国際会議での論文2件として発表していることから,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果として,ナノポーラスコンポジットの60Hz 比誘電率測定値は,ノンポーラスコンポジットの比誘電率より低いことを明らかにしている.次年度は,その低誘電メカニズムを説明する複合誘電体モデルを構築する.さらに,構築したモデルを用いて,ナノポーラスコンポジットの比誘電率がポーラス構造を持たないものに比べて,30 %誘電率が低下する低誘電メカニズムを明らかにする. 最後に,ナノポーラスコンポジットの空孔率特性,誘電率特性,絶縁破壊特性を総括し,ナノポーラスコンポジットが有力な電気絶縁材料の一つとして,その実用化に対する基本的指針を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・ナノポーラスコンポジット作製・計測に関わる物品など ・研究成果発表に関わる旅費,論文投稿料など
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Research Products
(3 results)