2012 Fiscal Year Research-status Report
需要家電気エネルギーシステム監視制御による供給信頼度マネジメント
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24760236
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 政幸 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90398115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電力系統工学 / 制御工学 / 電力系統監視 / 電力系統制御 |
Research Abstract |
電気エネルギー供給の形態が大規模集中型から小規模分散型の運用へシフトしつつある状況下においても高い供給信頼性は確保されなければならず,分散配置される電源の増加や需要家における負荷機器構成が電力系統の特性に与える影響を的確に捉えることが重要である。本研究では小規模な需要家電力系統を対象として電圧等の監視情報に基づいてシステム状態を評価する方策を検討する。今年度においては以下の項目について検討を実施した。 1. 電力系統における計測情報を用いた系統特性抽出 適切な電力系統制御を行うためには現在のシステム特性を把握した上で制御系の調整を行うことが有効であることから,発電機制御系の入出力信号に着目して計測情報から安定性を特徴づける成分を抽出してシステム同定手法により対象をモデル化する方法を検討した。観測が困難な外乱情報を用いることなく高い精度でモデル化できることが確認され制御系設計への適用可能性を示すことができた。また,需要家電力系統を想定した解析用系統モデルを用いて線形化モデルから導出される固有値から安定度を評価する方法について検討し,多数の機器で構成される複雑な系統モデルから特性を精度よく抽出できることが確認できた。 2. 需要家電力系統における電圧情報に基づく安定度評価 需要家電力系統においては電圧に関する状態監視も重要であり,とくに自立運転状態となって無効電力の供給能力が制限され系統電圧の維持が難しくなる状況を想定し,瞬時電圧低下発生後の電圧回復性について評価を行った。電圧および電力情報の時間推移を平面上に描くことで各機器の動特性を含む安定条件を視覚的に評価する方法を検討した。系統シミュレーションにより,発電機の定格出力に占める回転機負荷の割合や,電圧調整を行う発電機制御系の動作特性を変化させるなど種々の条件下で評価を実施し,電圧崩壊に至る条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
監視情報に基づく電力系統状態監視方策について,初年度における基礎的検討を進めた結果,系統特性を抽出して安定度の評価に結びつけるとともに,系統制御にも適用できる見通しが得られたことから,研究目的に対する初年度の計画についてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計測情報から電力系統特性を精度よく抽出できる見通しが得られたことから,安定度の指標づけの検討,系統制御や系統保護への適用を考える。需要家電力系統における自立運転状態においては需給バランス調整が難しくなるとともに安定度余裕が少ない状態で運用されることから,計測情報から抽出される特性を常に監視して余裕度を算出する方法について検討を進める。また動揺の安定性とともに電圧の安定性の評価も重要であり,需要家系統における電圧回復性を判定するための指標導出についても検討を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していた備品について当初よりも安価に購入できたことから次年度繰越が生じた。次年度では50万円以上の高額備品の購入は計画しておらず,主として研究調査や学会における成果発表のための国内外旅費での使用を計画している。また,遂行上必要な少額消耗品購入での使用を計画している。
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Research Products
(5 results)