2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ-超音波複合プロセスによる液中難分解有機物の革新的処理技術の開発
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24760238
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
黒木 智之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00326274)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電気機器 / 有害廃水処理技術 |
Research Abstract |
まず実験で使用するプラズマ-超音波複合リアクタを設計,製作した.放電による水処理では液中で放電させる方法と,気液界面で放電させる方法があるため,本研究では液中及び気液界面のどちらにも対応可能なように上下可動式の放電電極を採用した.電源については周波数可変パルス高電圧発生装置を用いた.超音波照射については,放電場に直接振動子を設置することは困難であることから間接照射方式を用いた.また,プラズマ-超音波の相乗効果を評価する方法として,①パルス放電プラズマと超音波を同時に駆動する方法,②パルス放電プラズマ処理後超音波処理を行う方法,③超音波処理後パルス放電プラズマ処理を行う方法の3パターンが考えられ.これまでの気液界面パルス放電プラズマを用いた水処理に関する研究により,ガスをプラズマリアクタへ供給することでガスを供給しない場合に比べ反応が促進することがわかっていることから,ガス供給方法に関しては既報(1)に示すように,液中でバブリングさせ供給可能な構造とした. パルス放電プラズマおよび超音波処理での難分解性有機物の分解特性の把握するため,それぞれ単独に用いて難分解性有機物処理実験を行った.処理対象物質としてフェノールを用いた.これらの物質の除去率の評価や反応生成物の同定には,高速液体クロマトグラフを用いた.パルス放電プラズマを用いた試験では,液中及び気液界面放電に対して,パルス周波数(~1 kHz),消費電力,空気バブリングの有無,放電電極と接地電極の間隔や放電電極と気液界面との間隔などをパラメータとした試験を実施した.超音波処理を用いた試験では,超音波発振機の出力などをパラメータとした試験を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目的である、「実験で用いるプラズマ‐超音波複合リアクタを設計、製作すること」及び「パルス放電プラズマ及び超音波処理の難分解性有機物の分解特性の把握」を達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策は以下のとおりである (1)プラズマ-超音波複合処理による難分解性有機物の分解 前年度に得られた結果を基にパルス放電プラズマ,超音波をそれぞれの最適な運転条件で駆動させ,①パルス放電プラズマと超音波を同時に駆動する方法,②パルス放電プラズマ処理後超音波処理を行う方法,③超音波処理後パルス放電プラズマ処理を行う方法の3パターンでの難分解性有機物分解実験を実施する.得られた結果と前年度に行ったパルス放電プラズマ,超音波それぞれ単体で用いた場合の結果を比較し,プラズマ-超音波複合処理による相乗効果を評価する.また,必要に応じて,さらに酸化分解をさらに促進させると考えられる硫酸鉄(FeSO4),塩化カリウム(KCl)を励起添加剤として用いた実験を行い,励起添加剤の種類,添加量などの条件を変化させ,分解率の改善を図る. (2)プラズマ-超音波複合処理によるBOD,COD低減 上記(1)で得られた結果を基に,BOD,CODの原因となる有機物の分解実験を行い,短時間で,低コストかつ高効率に分解処理可能なことを実証する.処理対象物質としては,生活廃水(食用油や洗剤)など有機系物質をターゲットとする.BOD及びCODが1000~10000 mg/L程度の模擬廃液を準備して,最終的にBOD,CODを規制値(120 mg/L)以下まで低減することを目標とする.BODの分析はBOD測定器),CODの分析はCOD分析用試薬及び吸光光度計を用いて行う.また,必要に応じて有機物がCO2とH2Oに完全に分解されているかどうかを確認するためにTOC(全有機体炭素)の分析も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては,約90万円を消耗品費として構造材や標準ガス,薬品など研究に必要なものを購入するために使用する予定である。残りの約40万円は学会等出席のための国内,海外旅費及びその他費として学会参加登録費や大阪府立産業技術総合研究所に成分分析を依頼する際の費用として使用予定である.
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