2012 Fiscal Year Research-status Report
複合知覚支援を伴うバイラテラル遠隔操作システムの開発
Project/Area Number |
24760239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
矢代 大祐 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60607323)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハプティクス / モーションコントロール / バイラテラル制御 / 触覚 / ネットワーク化制御 |
Research Abstract |
本研究は、課題A~課題Cから成り、複合知覚支援機能をバイラテラル遠隔操作システムに付加することを目的としている。24年度は、通信制約下で鮮明な触覚情報と高精細な視覚情報を伝送するために、課題A『視触覚通信のための量子化器、遅延補償器、通信プロトコルの開発』に取り組んだ。課題Aは下記に示すA1、A2、A3のサブテーマで構成される。 ■A1. 量子化器の開発:無線通信などの通信帯域制限が厳しいネットワーク下で触覚情報を伝送する場合には、触覚情報の量子化が必要になる。そこで、ロボット制御系の量子化の影響を低減化する効果がある最適分散動的量子化器を開発した。また、『触覚通信システム』を試作し、実験をおこなうことで最適分散動的量子化器の有効性を検証した。 ■A2. 遅延補償器の開発:マスタ・スレーブ間の通信遅延が大きいほど触覚通信の安定性や性能は劣化する。そこで、位置制御のための遅延補償器を『触覚通信システム』に実装し、実験的に有用性を検証した。具体的には、10000km程度の超遠距離間(三重大学工学部―イタリア・パドバ大学間)にマスタロボットとスレーブロボットを設置し、バイラテラル遠隔操作の実験をおこなった。 ■A3. 通信プロトコルの開発:バイラテラル遠隔操作では、視覚通信が触覚通信に干渉し、システムの不安定化の要因である遅延やジッタを増大させる。そこで、視触覚データの伝送レートを動的に調整する『レート制御器』と、1フレーム分の画像データを複数のブロックに分割して伝送する『符号化器』を開発し、『触覚通信システム』にカメラとディスプレイを追加することで構成される『バイラテラル遠隔操作システム試作機』を用いた実験により、有用性を検証した。 上記の研究成果は、原著論文(4件)、招待講演(1件)、国内会議発表(5件)などを通じて、国内外に広く発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度は予想以上に研究が進展したため、本年度中に前倒し支払い請求をおこない、25年度に計画していた『バイラテラル遠隔操作システム試作機』を製作することで、25年度研究の一部である、課題A『視触覚通信のための量子化器、遅延補償器、通信プロトコルの開発』のサブテーマA3に着手した。A1とA2に関して多くの成果を挙げただけでなく、A3に関しても既に、国内会議発表(3件)などの成果を発表しており、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、24年度に実施した課題A『視触覚通信のための量子化器、遅延補償器、通信プロトコルの開発』を継続する。また、課題Aの研究によって得られた結果を基に、課題B『視覚情報と触覚情報に基づく操作者と操作対象の状態推定』の研究を開始する。課題Bはサブテーマ『B1. 操作対象の状態推定』と『B2. 操作者の状態推定』から構成される。サブテーマB2では、状態推定した操作者の特性を検索するための『データベース』を試作する。 26年度以降は、課題Aと課題Bの研究によって得られた結果を基にして、課題C『状態推定値に基づく操作者の動作の機械的補助』の研究を開始する。課題Cはサブテーマ『C1. 単純動作の自動化』と『C2. ロボットと操作対象の同期』から構成される。サブテーマC2では、操作対象の運動の再現性を確保するために『擬似操作対象』を試作する。 また、24年度に引き続き、25年度以降も継続的に、『バイラテラル遠隔操作システム試作機』の駆動のために必要な消耗品類である『アクチュエータ』、『エンコーダ』、『モータドライバ』『制御回路用電子部品』、『機械部品』を購入する。さらに、研究成果を国内会議、国際会議、学会誌を通じて発信するために『国内会議旅費・交通費』、『国際会議旅費・交通費』、『会議費』、『学会誌投稿料』を使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
■25年度の使用予定 『データベース』(物品費150千円)、『アクチュエータ』(物品費50千円)、『エンコーダ』(物品費50千円)、『モータドライバ』(物品費50千円)、『制御回路用電子部品』(物品費50千円)、『機械部品』(物品費50千円)、『国内会議旅費・交通費』(国内旅費100千円)、『会議費』(その他100千円)、『学会誌投稿料』(その他100千円) ■26年度以降の使用予定 『擬似操作対象』(物品費100千円)、『アクチュエータ』(物品費50千円)、『エンコーダ』(物品費50千円)、『モータドライバ』(物品費50千円)、『制御回路用電子部品』(物品費100千円)、『機械部品』(物品費50千円)、『国内会議旅費・交通費』(国内旅費100千円)、『国際会議旅費・交通費』(外国旅費400千円)、『会議費』(その他100千円)、『学会誌投稿料』(その他100千円)
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Research Products
(11 results)