2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760245
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
金 敬鎬 北見工業大学, 工学部, 助教 (70608471)
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Keywords | 色素増感太陽電池 / 光電極 / 酸化亜鉛 / ナノロッド / 変換効率 |
Research Abstract |
近年、カラフルでフレキシブル基板上に作製が可能な色素増感太陽電池(光電極、色素、電解質、対極で構成)は新しいグリーンエネルギー源として大きな注目を浴びている。色素増感太陽電池は従来のシリコン系太陽電池に比べ、比較的に安価でシンプルなプロセスで作製可能なメリットを有している。しかし、実用化のためには変換効率の向上が必要である。 本研究課題では、従来の酸化チタンのみの光電極の代わり、二層構造の光電極(酸化チタンと酸化亜鉛)を用いることで色素増感太陽電池の変換効率の改善を目指す。ワイドバンドギャップを有する酸化亜鉛は従来の光電極である酸化チタンに比べ、高いキャリア移動度を有する。さらに、一次元酸化亜鉛ナノロッドは、大きな表面積や優れた電気・光学的特性を持つため、新たなナノデバイスへの応用が期待されている。 今年の研究内容は(1)ゾルーゲル液相法による酸化亜鉛を作製し、膜厚・熱処理温度による光学的特性、結晶構造、表面形態および電気的特性を評価し、色素増感太陽電池への応用を図る。ゾルーゲル液相法は比較的に安価であり、簡単な工程で薄膜の作製が可能で、量産化に適している。また、ゾルーゲル液相法の組成制御の容易性を活かし、アルミニウムをドーピングした酸化亜鉛薄膜の作製し、ドーパントやドープ量に伴う酸化亜鉛薄膜の物性を評価した。(2)作製した酸化亜鉛を用いる二層構造の光電極を有する色素増感太陽電池の電流密度―電圧特性を検討した。次に、(3)電子移動の促進、結晶粒界の低減、表面積の増大できる酸化亜鉛ナノロッドの作製し、ナノロッドと基板の間に酸化亜鉛シード層を挟む事でナノロッドの形態への影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、光電極および対極の特性改善を通じて高効率色素増感太陽電池の開発を目的とする。 今までの研究成果は、(1)ゾルーゲル液相法で作製した酸化亜鉛薄膜の熱処理温度およびアルミニウムなどのドーパントによる構造・電気的特性の変化を明らかにし、日本化学会北海道支部会(H25、7月)で発表した。また、(2)二層構造の光電極(酸化チタン及び酸化亜鉛)を用いた色素増感太陽電池の特性を評価し、その研究結果は論文(Int. J. Electrochem. Sci.、H25、4月)で発表した。酸化亜鉛薄膜を光電極に導入しる事で、色素や電解質中への電子の移動を抑制する事が可能だ。従来の酸化チタンのみの光電極を有する色素増感太陽電池に比べ、二層構造の光電極を有する太陽電池はより優れた変換効率を示した。 また、色素増感太陽電池の特性向上に必要とする最適な酸化亜鉛の膜厚は作製法(ゾルーゲル液相法、真空蒸着法)により異なる事が明らかになった(International Meeting on Information Display(IMID)、H25、8月)。次に、(3)一次元酸化亜鉛ナノロッドをゾルーゲル液相法で作製した酸化亜鉛シード層上に作製し、酸化亜鉛シード層の熱処理温度に伴う酸化亜鉛ナノロッドの配向性や長さへの影響をしらべ、その結果を国際会議(International Display Workshops(IDW)、H25、12月)で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、(1)ニッケル、銅、アルミニウムなどのドーパントを用いた光電極(酸化チタン、酸化亜鉛)の製膜条件や熱処理条件などの変化により作製した光電極の表面形態や構造的・光学的・電気的特性を評価する。光電極の特性改善は色素増感太陽電池の変換効率の向上に重要な役割を果たすことになる。次に、(2)新しい導電性ポリマー対極(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-tetramethacrylate、PEDOT-TMA)のUVオゾン処理による表面形態および電気化学・光学特性の変化を評価し、より優れた特性を有する導電性ポリマー対極の開発を図る。高機能性を有する対極は色素増感太陽電池の大きな開発課題となっている耐久性の改善に大きな期待が寄せられる。 特に、導電性ポリマー対極の特性およびそれを用いたデバイスはまだ多く知られていないので、さらなる発展が期待される。異なる光電極や対極を用いた色素増感太陽電池を作製し、その特性変化に伴う電流密度―電圧特性変化の相関を明らかにし、フレキシブル基板上の高効率色素増感太陽電池の開発を目指す。
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Research Products
(6 results)