2013 Fiscal Year Annual Research Report
窒化物半導体エアギャップポラリトンレーザダイオードの作製技術開発
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24760251
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有田 宗貴 東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任准教授 (10596951)
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Keywords | 窒化物半導体 / 微小共振器 / ナノ構造 / エッチング |
Research Abstract |
本研究は、III族窒化物半導体ナノデバイスの新しい作製技術を開発し、紫外発光素子の性能向上や新型素子の実現に向けた要素技術の確立に資することを目的とする。 平成25年度は、電流注入ポラリトンレーザ実現に向けて前年度までに開発した技術工程のさらなる最適化と評価を進めた。具体的には、主にGaN/空気DBRを備えた高Q値垂直微小共振器の作製ならびに光学特性評価を行った。GaNの熱分解には結晶構造を反映した異方性があり、垂直微小共振器の作製にはm面GaNの活用が有効である。m面GaN基板上AlGaN/空気垂直微小共振器構造(Q値~1600)を、世界で初めて実現した。同構造における励起子ポラリトンの生成を確認するには光学測定系を新たに構築する必要があるが、その可能性を検討できるような高品質構造の作製技術を確立したという点において、将来の電流注入型素子実現へ向けて一定以上の成果をあげたものと考えている。 III族窒化物半導体の加工法として従来はプラズマエッチングや光電気化学エッチングなどが知られていたが、プラズマエッチングでは損傷、装置の複雑さ、塩素ガス使用による環境負荷などの課題が、一方光電気化学エッチングではエッチング速度が遅い、溶液中での加工のため表面張力による構造の破壊が起こりやすい、エッチング後の表面平坦性が十分ではない、などの課題があった。本研究によって開発・確立された熱分解法では上記すべての課題を克服しており、ポラリトンレーザのみならず、フォトニック結晶やマイクロディスクなど従来高品質化が困難、あるいは作製が不可能であった窒化物半導体ナノ構造の作製への活用に、さらにはそのような高性能素子の活用による窒化物半導体基礎・応用研究の発展に、大いに貢献しうるものである。
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